プロジェクトマネジメントのヒント

プロジェクトを失敗させないヒント43『小規模プロジェクトでもPMOは生かせる』

作成者: MSOL|Jul 22, 2024 6:46:48 AM

 


小規模なプロジェクトの予算を見積もる時、PMOを参画させるためにコストを確保すべきでしょうか。規模が小さいほど削られがちなのがマネジメント工数ですが、小規模プロジェクトに合ったPMOの生かし方もあります。PMOを必要とするのは規模の大きなプロジェクトだけという先入観を持たずに、プロジェクトの成功のためにPMOの参画を検討する価値はあります。

プロジェクトには、小規模だからこその難しさもあるはずです。イメージを合わせるため、ここでは小規模プロジェクトを50人月以内、メンバーは最大で15人程度としましょう。これくらいの規模だと、予算の確保が難しいことも原因になりますが、「プロジェクトマネジャーが全体の状況を把握できる」とか、「PMOの役割はリーダーが兼任すれば十分」などと言われて、PMOの参画にコストを割かないケースが少なくないと思います。


プロマネやリーダーは実作業で結構忙しい



ただ、そうしたプロジェクトの実態は、事前の見通しとかけ離れてしまいやすいものです。プロジェクトマネジャーやリーダーがプレーイングマネジャーとなっており、実作業やレビューなどに多くの時間を取られてしまうからです。業務やシステムに詳しい人がプロジェクトマネジャー兼リーダーの役割を担うケースが多いためでしょう。結果的にマネジメントにかける時間はほとんどなくなり、WBSはメンテナンスされず、課題は期限を過ぎ、徐々にメンバーのコントロールが利かなくなっていきます。

規模が小さいため、メンバーの踏ん張り(残業や休日出勤など)により、結果的にはスケジュールに間に合わせることができるかもしれません。しかし、メンバーのモチベーション低下や疲弊を招いたとしたら、プロジェクトとして本当に成功したとは言えません。そんな状況を変えるのに必要なのはPMOです。プレーイングマネジャーとなっているプロジェクトマネジャーやリーダーに代わって、プロジェクト全体の状況把握をはじめ、スケジュールの管理や課題・リスクの把握、対応を推進していくことが必要です。

とはいえ、こうした状況では、PMOにもある程度のスキルが求められます。PMO側の視点で考えると、プロジェクトに人数が少ない分、オールラウンダーとして雑多な仕事の処理も求められますし、プロジェクト内で発生する課題や問題、悩み、相談事をいったん全て受け止め、適切な負荷とスキルを見極めてプロジェクトマネジャーやメンバーにタスクを振り分け、時には自分で解決していく必要があります。小規模プロジェクトではある程度「自分でやること」の範囲を広げていく必要があるのです。

もちろん、PMOとしてやるべきことを見失い、メンバーの作業支援を始めてしまっては元も子もありません。自分のコントロールも含めて、適切なタスクの振り分けが必要になります。PMOが「メンバーの1人」になってしまったら意味がないのです。小規模プロジェクトのPMOには「何でもやる覚悟」と、一方で「メンバーの忙しさに引きずられない強さ」が必要になります。



プロジェクトマネジャーとPMOの役割分担


これらを考慮し、小規模プロジェクトで効率的にPMOを活用するには、次の2つがポイントになります。


(1)PMOが得意とする分野(マネジメント面)をPMOに徹底的に任せること
(2)プロジェクトマネジャーやリーダーは、マネジメントの要点のみをPMOを通じて押さえ、意思決定していくこと


役割分担を明確にした適材適所の考えの下、PMOをアサインすることで、プロジェクトを成功に導ける確率は上げられます。