プロジェクトマネジメントのヒント

プロジェクトを失敗させないヒント35『新しい管理プロセスが定着しない理由』

作成者: MSOL|Apr 12, 2024 3:25:18 AM

新しい管理プロセスを導入しようとしたら、順守しない人が多くいることに愕然とした経験はないでしょうか。管理プロセスの導入・定着化に限らず、人は新しいルールを導入されると拒絶する傾向があります。そもそも人は自分自身が納得していない変化や、一方的に押し付けられた変化を好みません。

それでは、どのようにルールを導入していけばよいのか。PMOの視点から考察してみましょう。新しい管理プロセスやルールを策定した際に、よく起こる現象は以下の通りです。

(1)課題管理プロセスを導入した
(2)しかし、ルールを順守しない人が多い(定着しない)
(3)課題管理票の記載レベルは低いまま。課題も備忘録もリスクも、ごちゃごちゃになっている。その結果、意思決定に利用できない
(4)記載レベルを上げるために、異なる方法でアプローチする

大抵は(1)~(4)の繰り返しになります。一見、PDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルを回しているようにも見えますが、プロセスそのものが複雑化し、悪循環を招くだけです。どうして、このようなことが起こるのでしょうか。

「いいものは使用される」という勘違い

これは、「いいもの(=品質の高い管理プロセス)はみんなに使われる」という誤解から生まれます。ルール策定者はルールそのものの品質にばかり関心を向けがちです。その前に、以下の2点を確認してみるべきです。

(1)メンバーは管理プロセスやルールの存在を知っているか
(2)メンバーは管理プロセスやルールを理解しているか

プロジェクトマネジャーやPMOはまず、どうしたらメンバーに新しい管理プロセスやルールの存在を知ってもらえるかを考えるべきです。そのうえで、どのようにメンバーに理解してもらうかを検討しなければなりません。

(1)と(2)の確認をせずに、管理プロセスが定着しない原因を「手法」や「メンバーのレベル」に求めるのはナンセンスです。定着しない原因を手法に求めているうちは、どんな手法も定着しません。なぜなら、定着しない原因の根底には「人の気持ち」があることが多いからです。人はルールが変わると「自分の仕事が増えるのではないか」「自分の知識や技術が役に立たなくなるのでは」「新しいことを覚えるのは面倒だな」「何がいつ、どう変わるのか全く分からない」「自分にとって何のメリットがあるのか」と不安に感じます。

納得できなければ、メンバーは動かない

新しい管理プロセスの導入は、管理される側にとって少なからず負担の大きなものです。進捗会議で「管理プロセスを策定したので、次回からお願いします」と突然説明されても、メンバー側は押し付けられていると思ってしまうだけ。メンバーにしてみたら「無意味とも思える工数の増大」を強いられているのですから、メリットや必要性、導入後はどのように変わるのかをきちんと踏まえたうえで、綿密なコミュニケーション計画を立てる必要があります。具体的には「管理プロセスの策定 → 説明会の実施 → 導入 → 定着化モニタリング」のアプローチを取ることが多いと思います。

ただし、このアプローチでは、現場の気持ちや思い、現場の事情を知る機会がないため、反発が起こる可能性があります。管理プロセスの策定後には、現場との入念なコミュニケーションが重要です。管理プロセスの導入を告知し、それに対して意見交換をする段取りを踏みます。メンバーが納得しなければ、理解は促進されません。