【IT業界向け】PMOとは?PMとの役割の違いや導入するメリットを解説

目次

    【要約】PMO導入フレームワーク

    PMO導入フレームワーク

    弊社創業者・高橋信也(著)「PMO導入フレームワーク~プロジェクトを成功に導く、人・組織・プロセス・ツール~」のエッセンスに、最新のPMO定義を反映した要約版です。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。お問合せはこちらからどうぞ。

    ※『【要約】PMO導入フレームワーク』をPDFでダウンロードできます。

    本記事の読みどころ

    PMOとは、プロジェクト全体をさまざまな角度から支援する組織です。IT業界においても、プロジェクトの成功を目指すうえでPMOの重要性が高まっています。この記事では、IT業界におけるPMOの役割や導入メリットを解説します。PMOに必要な能力についても解説するため、ぜひ役立ててください。

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    IT業界におけるPMOとは

    PMOとは、プロジェクトマネジメントオフィスの略称です。プロジェクトの流れや状況を把握し、プロジェクトに関わる部署の枠組みを超えてマネジメントする組織です。また、プロジェクト全体を見据えた分析やアドバイスなども行っています。

    プロジェクト予算の調整、人材確保、関係する部署間で発生する認識相違などのすり合わせなどもPMOが対応する業務の1つです。さらに、経営層やプロジェクトスポンサー等の重要なステークホルダーの利害調整も実施します。このように、PMOはプロジェクトの成功のために幅広い役割を担っています。

    PMとの違い
    PMとPMO。似た言葉であり、ともにプロジェクトを進行させるパートナー同士といえますが、その役割はまったく異なります。
    PMにとって最も重要な仕事は、「スピーディーで正確な意思決定」です。いくら判断が早くても、それが誤っていたら大きなマイナスにつながりますし、正しい判断ができてもスピードが遅ければ、市場でのシェアを逃がすことにもなりかねません。早さと正確さを兼ね備えた意思決定、これがPMの責務です。

    そのために動くのがPMOです。PMOは業務を通じ、さまざまな手法を用いて現場で起こっていることを可視化します。そして、精度の高い情報をスピーディーにとりまとめてPMに渡します。つまり、PMの意思決定を支援し、そのためのあらゆる業務を手掛けるのがPMOというわけです。

    IT業界のPMOの種類を解説

    IT業界のPMOには種類があります。以下で詳しく解説します。

    種類1:参謀型PMO
    プロジェクト全体を把握し、PMを支えるプロジェクトマネジメントコンサルタントが参謀型PMOです。プロジェクトを円滑に進めるための具体的な計画を立てるとともに、PMと一緒に統括するためのマネジメントスキルが必要です。またさまざまな相手と関わるため、人間的な深さや広さが求められるでしょう。

    種類2:推進型PMO
    情報を分析し、PMへアドバイスするプロジェクトマネジメントアナリストが推進型PMOです。PMやチームリーダーなどから相談を受け、プロジェクトを推進するためにサポートします。よって、分析や的確な助言を行うスキルが求められます。ときには言いにくいことを伝える必要もあるため、コミュニケーション能力も重要です。

    種類3:管理定着型PMO
    管理定着型PMOとは、プロジェクトコントローラーのことです。PMが意思決定する際に、必要な情報を得るための環境を整備することが主な役割です。例えば、プロジェクトの可視化を目指し、プロジェクトを管理するためのプロセスを策定したり、その定着を図ったりします。幅広い相手に依頼する場面が多いため、良好な人間関係を築いて信頼を得る能力が必要です。

    種類4:事務局型PMO
    事務局型PMOとは、プロジェクトアドミニストレーターのことです。プロジェクトにおいて発生するさまざまな作業の管理、メンバーが働きやすい環境の整備などを行い、プロジェクトリーダーをサポートします。プロジェクト全体の状況を捉え、何が必要かを考えるスキルが必要です。また、プロジェクトリーダーから幅広い依頼を受ける可能性があり、臨機応変に対応する能力が求められます。
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    IT企業にPMOを導入するメリットとは

    IT企業にPMOを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

    PMが意思決定に集中できる
    PMOを導入すると、PMが対応する業務の負担を軽減することが可能です。情報の収集・分析やプロジェクト管理方法等の環境の整備などをPMOに任せられるため、PMはプロジェクトの意思決定に集中できます。

    プロジェクトを可視化できる
    PMOは、PMの意思決定に必要なプロジェクトの情報収集・分析を担っており、、PMは、可視化された情報をもとに冷静にプロジェクト状況を把握できます。PMを含めてプロジェクトチームが作業に忙殺されている場合、適切な判断が難しくなるケースも多いです。PMOを導入することで、プロジェクトの客観的かつ正確なデータを取得可能です。その結果、プロジェクトの状況が可視化され、PMの正確な意思決定が可能となります。。

    徹底したリスク管理を行える
    PMOの導入後は、プロジェクトリスクを早めに検知でき、リスクの顕在化を未然に防ぐ等、リスク管理を徹底的に行えます。PMOは、プロジェクト全体についての幅広い情報を集めているからです。たとえリスクが顕在化しても、PMOが保有しているリスク管理情報(リスク内容、対策と担当者などの情報)をもとにすればスムーズな対応を実現できます。

    プロジェクトの成功率が高まる
    PMOはプロジェクトについてさまざまな角度からサポートし、PMの意思決定も支援しています。正確かつ迅速な意思決定ができれば、プロジェクトの成功率も高まります。PMOがプロジェクトの経験を積むほどナレッジが増えていくため、成功率はさらに高まるでしょう。
    メリット

    IT企業にPMOを導入するデメリットを解説

    IT企業にPMOを導入する場合、デメリットも生じます。以下で詳しく解説します。

    PMとメンバーのコミュニケーションが不足する可能性がある
    PMOを導入すれば情報を可視化できますが、PMやメンバーが数字にとらわれすぎるという懸念もあります。プロジェクトを成功させるには、さまざまな情報をもとに総合的な判断が必要です。数字の情報に過度に頼る状況になると、PMとメンバーのコミュニケーションが不足したり、本質を見失ったりする可能性があります。

    他部署の検討内容に関心を持たない従業員が出てくる恐れがある
    PMOがプロジェクトを統括すれば、自分の担当範囲以外のプロジェクト検討内容や、他部署の状況を知らなくても、自分のプロジェクト業務に支障がない状況になります。その結果、他部署の業務領域の内容や、検討状況に関心を持たない従業員も発生する恐れがあります。人材育成や事業継続などの観点においては、自社全体を意識して業務に取り組んでいる従業員が多いほうが望ましいです。PMOの導入にあたっては、プロジェクト全体を「自分ゴト」としてとらえる意識の醸成や、プロジェクト関連部署同士のつながりをどう維持するかについても考える必要があります。

    チームの士気を下げるリスクがある
    PMOを導入しても事務的な管理に対応するだけでは、チームのモチベーションが下がる原因になります。PMOは単にプロジェクトを管理するだけでなく、積極的なコミュニケーションにより業務が円滑に進むよう働きかける必要があります。たとえば、遅延が発生している部分については、話し合いの場を設けて解決方法を検討する必要があります。

    職場の雰囲気が悪くなるケースもある
    PMOにはプロジェクトの進捗を管理する役割もありますが、基準が厳格すぎるとメンバーが萎縮する原因になります。そもそも、進捗管理の目的は遅延の指摘ではなく、遅延しないために先回りして対策を講じることです。PMOが先回りでサポートすれば、遅延の発生を防げます。そのためにはPMOと現場のメンバーが、円滑にコミュニケーションできる関係を構築しておく必要があるでしょう。
    デメリット

    IT企業のPMOに求められる能力

    IT企業のPMOには、どのような能力が必要なのでしょうか。求められる能力について具体的に解説します。

    システム開発の知識
    PMOは現場で作業する機会はないものの、エンジニアとやり取りする機会はあります。よって、最低限のシステム開発の知識が必要です。システム開発について知見があれば、メンバーとより深いコミュニケーションができ、相互理解や信頼関係を深められます。また、現場にとって有益なアドバイスがしやすくなるでしょう。

    コミュニケーション力
    PMOは、業務を通して幅広い相手とやり取りします。さまざまな相手との対話で正確な情報を得るためには、コミュニケーション力が必要です。相手の立場に立った対応ができれば、より幅広い情報を得られるでしょう。また、得た情報をPMなどに正確に伝える為にも、高いコミュニケーション力が求められます。

    マネジメント力
    PMOは組織を統括する役割もあるため、マネジメント力も必要です。IT業界ではPMIが発行したPMBOKをもとに、プロジェクトの計画や遂行が行われているケースが多くなっています。PMIとは、プロジェクトマネジメントに関する非営利団体です。IT企業のPMOは、PMBOKの内容も理解しておく必要があるでしょう。

    文書作成力
    PMOは文書を作成する機会が多いため、必要な情報を正確かつ分かりやすくまとめる文書作成力も求められています。たとえば、IT部門のPMにプロジェクトの状況を報告したり、経営層に情報提供したりする場合に文書を作成します。。

    プロジェクトに関する専門知識
    PMOはプロジェクト全体を把握する立場であるため、プロジェクト対象業務領域に関する専門知識も不可欠です。専門知識がないと、プロジェクトの状況を正確に理解できない恐れがあります。基本的には、PMO にもPMと同等以上の知識が必要です。

    PMO導入を成功させるコツとは

    IT企業へのPMOの導入を成功させるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、PMOの導入を成功させるコツを解説します。

    プロジェクト全体を管理することに重点を置く
    ITのプロジェクトは組織構造が複雑である場合も多いため、PMOはプロジェクト全体の管理を重視する必要があります。全体像を俯瞰で捉え、それぞれがどのように関わり合っているか正確に理解することが大切です。

    人間関係の築き方を考える
    PMOがプロジェクト全体をスムーズに管理するには、常に中立的な立場でメンバーと接する必要があります。日頃から積極的なコミュニケーションを心がけて、良好な人間関係を築いておくと、業務も円滑に進みやすくなります。

    必要に応じて外注を検討する
    必要があれば、PMOの外注も検討しましょう。外注なら、教育に時間やコストをかけなくても専門知識を持つ人材に業務を任せられます。専門知識の有無や過去の実績なども確認し、信頼できる外注先を選ぶことが大切です。

    PMOの役割を明確にする
    PMOの役割を明らかにせずに導入すると、現場が混乱する可能性が高いです。特にPMとの役割分担を明確にしなければなりません。事前に役割を確認しておくと、PMO導入後の効果も評価しやすくなります。


    まとめ

    PMOは、PMをサポートしてプロジェクトの成功を促す役割を担います。PMOを導入すればPMが意思決定に集中でき、プロジェクトの成功率もアップします。そのためには、PMOが幅広い知識や能力を持ち、PMやメンバーと十分にコミュニケーションをとることが重要です。

    MSOLは、創業2005年のマネジメント専門会社で、上場企業をはじめ幅広い業界のプロジェクト支援の実績があります。プロジェクトマネジメントの実行支援に強みがあり、DX推進に関わるものからトレーニングプログラムまで、さまざまなサービスをご用意しております。お客様の課題や予算に合わせて最適なメニューをご提案させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。

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    (会社名:株式会社マネジメントソリューションズ  略称:MSOL エムソル 監修者名:福井寿和)

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    PMO導入フレームワーク

    弊社創業者・高橋信也(著)「PMO導入フレームワーク~プロジェクトを成功に導く、人・組織・プロセス・ツール~」のエッセンスに、最新のPMO定義を反映した要約版です。

    監修者

    福井 寿和
    マーケティング部 部長
    株式会社マネジメントソリューションズ

    外資系IT企業にてエンジニア、プロジェクトリーダーを経験した後、2013年からMSOL参画。PMOとして金融、製薬業界のITプロジェクトを支援。その後6年間の会社経営を経て、2020年から再度MSOLに参画。PMO、営業を経て現職。