PMOは企業にとって重要な人材であり、今後ますます需要が高まる可能性があります。そのため、エンジニアからPMOにキャリアチェンジする人も増えている状況です。この記事では、PMOの基本に触れたうえで、仕事内容や必要なスキルなどについて解説します。エンジニアをPMOとして投入するための参考にしてください。
そもそもPMOとは、どのような存在なのでしょうか。ここでは、PMOの概要を解説します。
PMOとは、「Project Management Office」の略で、企業等におけるプロジェクト支援を、部署の枠を越えて行う組織です。社内に専任の部署を置くこともあります。ただ、従業員の経験や知識のみでは十分なマネジメントを行うことは難しい場合もあるので、多くは専門会社に依頼して、プロフェッショナルな人材を派遣してもらうという形をとります。プロジェクト統合マネジメントは、主に以下のような場面で必要になります。
規模が大きいプロジェクトでは、チームも複数編成されるケースがほとんどです。大規模プロジェクトでは管理業務が多岐にわたり、PMが1人ですべてに対応するとなると大きな負担がかかります。細かい部分までは、対応できないことも少なくありません。
チームごとにPMOを配置することで、プロジェクトの管理業務を効率化し、組織としての機能維持を容易にします。
なお、小規模な開発プロジェクトでは、PMがPMOの役割を兼任しているパターンがよくあります。
エンジニアからキャリアチェンジするなら、PMOは有力な選択肢の1つです。以下で詳しく解説します。
特にDXプロジェクトにおいては、エンジニアとして経験を積んだPMOが重宝されます。優秀なエンジニアは、多くの企業からPMOとしても求められています。ITに対するニーズはどんどん高まっており、エンジニアの経験をもつITスキルの高いPMOの需要は、エンジニアの需要を超えている状況です。
昨今はDXがトレンドワードになっており、これからのビジネスにはデジタルの活用が不可欠になっています。
エンジニアからキャリアチェンジしたPMOは、ITデジタル技術関連のプロジェクトに携わる可能性が高いでしょう。ただし、PMOとして働くうえでは、経営戦略の立案や社内業務プロセスの改善、新規事業計画の策定など直接的にはITに関連しないプロジェクトに参画する機会もあります。エンジニアとは異なるスキルが求められる場面も多いため、積極的に新しいスキルを取得する必要があります。
エンジニアからPMOになると、年収アップを期待できるでしょう。エンジニア経験を求められる案件が多くなり、高収入を得られる仕事に就ける可能性が高まるからです。選択肢が広がり、よりよい条件を提示している仕事を選択しやすくなります。
ここでは、エンジニア出身のPMOがプロジェクトチームを支援する場合の仕事内容について解説します。
PMOとしてプロジェクトチームを支援する場合、スケジュール管理を行います。全体管理者としての立場から、納期遵守できるスケジュールを立案し、進捗に遅れがないか、状況を監視します。負荷が高いメンバーの業務を調整する等、プロジェクト全体が遅延しないようにスケジュールを管理します。
品質の確認や保証などもPMOの重要な業務の1つです。計画的に成果物のレビューを進め、結果を分析して問題点を洗い出します。また、エンジニアとしてのスキルを活かし、チェックツールを活用してプログラムのソースコードをチェックする場合もあります。
PMOはコスト管理にも対応します。人件費を含む経費を取りまとめ、コストの見通しをPMに共有する必要があります。コストが不足する可能性が高い場合はクライアントやベンダーへの相談が必要になるため、説明のための資料が必要です。資料作成をPMOが対応するケースもあります。
PMOは工程管理や人員管理など、さまざまな管理業務にも対応します。管理業務にはソフトウェアやツールなどが活用されており、PMOはそれらの操作を担当します。メンバー全員が操作できる状態にすると混乱が生じやすいため、ソフトウェアやツールなどを操作する権限はPMOのみに付与されるケースも多いです。PMOは、責任をもって管理業務に対応する必要があります。
PMOはプロジェクト全体の業務を把握し、状況に応じてメンバーの負荷を軽減するための働きかけを行う必要があります。メンバーの特性を見極めながら、特定のメンバーにタスクが集中しすぎないよう調整します。
そもそもプロジェクト全体の業務負荷が増えているなら、根本的な対策を提案しなければなりません。たとえば、人的リソースの追加を打診する必要があります。
エンジニア経験のあるPMOには、ユーザーとITベンダーとの橋渡しの役割も期待されます。ユーザーにITの知見がなければ、伝達すべき内容が分からなかったり、課題への対処方法に迷って対応が遅れたりするケースもあります。状況によっては、ベンダーの言いなりになる恐れもあるでしょう。エンジニア経験のあるPMOなら、両者に寄り添ったサポートが可能です。
ここでは、エンジニア出身のPMOが開発手法の策定と維持に対応する場合の仕事内容について解説します。
プロジェクトを開始する際は、開発手法を採用したり開発プロセスを決めたりする必要があります。エンジニアとしてシステム開発の経験が豊富にあるPMOは、それらへの対応を求められます。具体的な仕事内容は、PMやエンジニアの意見を取りまとめ、最適な開発手法を明らかにすることです。
PMOが設定した実施手順にミスがある場合、プロジェクト全体に問題が生じる恐れがあります。そのため、エンジニアとしての知見を最大限に活用して慎重な判断をする必要があります。
PMOはプロジェクトで作成されるドキュメントの基準も策定します。システムを開発するうえでは、各種設計書をはじめとするドキュメントを作成する場面が多くあります。ドキュメントの作成には工数がかかるため、なるべく効率化すべきです。また、社内外で読まれるため、文体や体裁を統一して読みやすくしておく必要があります。
ドキュメントの文体や体裁に関する基準の策定もPMOの重要な業務の1つです。
開発においてはさまざまなツールが必要であり、ツールの用意もPMOに任される仕事の1つです。既存のツールの中から最適なものを選定する場合もありますが、状況によってはVBAなどを用いてツールを作成する場合もあります。ここでも、エンジニアとしての経験を活かすことが可能です。
自らのスキルや知識を活用しながら、プロジェクトの効率化や品質向上を実現するために尽力する必要があります。
エンジニアからPMOになるには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。以下でくわしく解説します。
プロジェクトにはスポンサー/オーナー/メンバー/関係部署/ユーザー/協力会社など様々なステークホルダーが存在するため、「必要な情報」を「適切なタイミング」で「適切な相手」に「適切な手段」で正確かつスムーズに収集・整理して届けることが重要です。
PMOは、各ステークホルダーの意図を正しく理解し、伝えていくコミュニケーション力が求められます。
PMOにとって、ロジカルシンキングも重要なスキルです。説明する場面が多く、根拠のある明確な説明が求められます。そのためには論理的思考により、筋道を立てて物事を整理できなければなりません。
PMOは資料を作成する場面も多いため、資料作成スキルが必要です。PMが意思決定する際に参考にする重要な資料の作成を任される場面もあります。具体的には、Excel、Word、PowerPointなどのスキルが必須です。
PMOは、「プロジェクトの成功」にコミットし、中立・独立の立場から、徹底した現場主義でマネジメントの実行支援を行います。
主体性を持ち、能動的に自らアクションし、問題解決に向けてプロジェクトをリードします。
PMOには、PMと同程度の能力が求められる場合が多いでしょう。たとえば、開発現場のリーダーとして活躍した経験や、プロジェクトマネジメントの経験がある人材が向いています。また、Excelやツールを用いたデータ分析の技術の知見があると、業務に活かせます。PMOはPMやプロジェクト全体をサポートする仕事であり、エンジニアとしての経験やスキルが役立ちます。
PMOには専門性や幅広い知見が求められるため、エンジニアとしての豊富な経験をもつ人材が抜擢されるケースも増えています。優秀なPMOを投入できれば、プロジェクトをスムーズに成功に導ける可能性も高くなります。
株式会社マネジメントソリューションズ（MSOL エムソル）は、創業2005年のマネジメント専門会社で、上場企業をはじめ幅広い業界のプロジェクト支援の実績があります。プロジェクトマネジメントの実行支援に強みがあり、DX推進に関わるものからトレーニングプログラムまで、さまざまなサービスをご用意しております。お客様の課題や予算に合わせて最適なメニューをご提案させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら
（会社名：株式会社マネジメントソリューションズ 略称：MSOL エムソル 監修者名：福井寿和）