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プロジェクトを失敗させないヒント4『「管理される側」に示すべきこと』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは
本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
「管理される側」から見たPMOは、お役所、調整役、火消し役など、プロジェクトによって実に様々な見え方をします。こうした多様性は否定しませんが、ただ一点、PMOとして堅持すべきことがあります。それを忘れると「管理される側」からの信頼を失いかねません。
プロジェクトにおいて「管理する側」と「管理される側」の間には、いつも何となく不協和音が感じられるものです。「プロジェクトマネージャーやPMOはいつも各チームの進捗や課題を報告しろと言うが、管理する側自身の進捗や課題はどうなっているんだ」。日頃、プロジェクトマネージャーやPMOにくどくど管理されていら立っているリーダーやメンバーなら、全体進捗会議の場でこう言い出すかもしれません。
PMO側は、導入された管理プロセスに従い、各チームからの進捗や課題、またはリスクの情報を集めます。ルーチンワークではありますが、全体を管理するうえで不可欠な作業です。その際、レポートの内容に不備があったり、提出が遅れたりすると、PMOはチームリーダーに注意を促し催促をします。
ここでPMOが「お忙しいところ大変申し訳ないのですが、○○欄の記述をより具体的にしていただけませんか」と丁寧にお願いすればよいのですが、「○○欄の記述が不明瞭なので、具体的かつ論理的な記述の徹底をお願いします」などと、事務的に、そっけない態度を取ってしまうこともあるでしょう。すると、チームリーダーには高圧的な態度と受け取られ、そこに「管理する側」と「管理される側」の対立関係が生まれることもしばしばです。
プロジェクトに限らず、社内の管理手続きに従うことや、管理部門から注意されることは心情的に嫌なものです。経費精算の提出期限を守らなかったり、人事の評価シートを適当に書いたりと、誰でも注意された経験があるでしょう。きちんと締め切りを守り、ルール通りに実施している人を「偉いな」と思ってしまう人もいるはずです。それはきっと、「決められたルールだから、従うのが社員の義務」というコンプライアンスの感覚なのです。
PMOの姿はプロジェクトによって変わり得る
さて、このように管理手続きに対して「管理される側」からは多様な反応があります。プロジェクトにおいては、官僚的なプロセスと割り切って管理レポートをテキパキと提出する人、プロジェクトマネージャーに進言してほしいと一生懸命に課題を記述される人、PMOにレポートを投げても自分たちにメリットはないと不満を示される人、などです。
裏を返せば、PMOの存在意義についての理解がそれぞれ異なっていると考えられます。PMOは「単なるお役所、事務屋」という見方、「プロジェクトマネージャーとの調整役」という見方など様々です。さらに、PMOの中にコンサルタントがいる場合だと、PMOはプロジェクトマネージャーに対するコンサルテーションを行うので、「火消し役」という見方も出てくるでしょう。
会社組織の場合、人事、経理、総務という管理部門の名前を挙げれば、どの会社でも大体のイメージをつかめると思います。しかし、PMOと言うと、人によって様々な解釈があるようです。本書はPMOをプロジェクト・マネジメント・オフィスとして表現していますが、複数のプロジェクトを対象としたプログラム・マネジメント・オフィスや、事務局としての意味合いでプロジェクトオフィスという組織もあります。
『[ヒント1]PMOの役割には幅がある』でも記載したように、プロジェクトの状況により、様々なPMOの役割があっていいと思っています。プロジェクトマネージャーのマネジメントスタイルにより、PMOに求められるものは変わってきます。カリスマ的なプロジェクトマネージャーであれば、細かな報告より、「要は何か」と要点を求めてくるでしょう。現場好きなプロジェクトマネージャーであれば、管理情報よりも具体的な課題に関する情報を求めてきます。こうした要素が、PMOの役割を変化させ得るのです。
とはいえ、ただ1点、PMOに限らず管理する側に言えることは、「管理される側の立場に立って管理情報を整理し、プロジェクトマネジメントの改善に貢献する姿勢」が常に必要だということです。何か課題が生じた時、プロジェクト全体に影響する課題についてはその原因を分析し、解決のための会議をファシリテーションすることは少なくとも必要です。加えて、プロジェクトマネージャーとの調整も行えれば、言うことはないでしょう。もちろん、そこまで強力なPMOを組織するのは、現実に大変かもしれません。
「PMOがどう貢献しているか」をメンバー全員に示す
冒頭で紹介した、PMOと「管理される側」のやり取りをもう一度考えてみましょう。「PMOは各チームの進捗や課題を報告しろと言うが、PMO自身の進捗や課題はどうなっているんだ」というPMOへの問いかけに対して、PMOはどう対処するべきでしょうか。
プロジェクトによってPMOの役割に多少の違いはあったとしても、PMOが「管理される側」に示すべきことは明確です。それは、「役割分担が不明瞭になっている」「担当が決まっていないタスクが存在する」「無駄な会議が多すぎる」「意思決定が遅れている」といったプロジェクトマネジメント上の課題に対し、それらを改善するプロセスが進行中であること、そしてその進捗状況や懸案事項を報告すればよいのです。