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プロジェクトを失敗させないヒント5『プロジェクトの無駄つぶしに注力せよ』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは
本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
お問合せはこちらからどうぞ。
※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
PMOを「コストセンター」だと思っているプロジェクトは、プロジェクト・マネジメント・オフィスという呼び名をやめた方がいいでしょう。PMOは、開発やマネジメントプロセス、コミュニケーションの無駄を省き、結果的に利益を生み出す責務を担っています。プロジェクトの生産性向上に寄与しない仕事には、手を出してはいけません。
PMOの役割・責任について、IT業界やプロジェクトマネジメントの世界で確固たるイメージや理想像が存在するかといえば、答えはノーです。PMBOKガイド発祥の地である米国でも同じ状況です。
プロジェクトメンバーもPMOに対して、色々なイメージを持っています。あるチームリーダーは、PMOはコストセンターなのだから事務的な作業は全てPMOにやってもらおうと思っていたり、チームの作業が逼迫(ひっぱく)してきた時、PMOが支援するのは当然だと思っていたりします。別のチームリーダーは、チーム間で調整が必要な課題など、2チームで話し合えば済むような課題も全てPMOが解決をしてくれるものだと思っているかもしれません。次のような感じです。
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PMO:Aチームの課題の中に「Bチームの方針が決まらないと成果物を作成できない」というものがありますね。この課題、もう1カ月もそのままの状態だけど、何かアクションを起こしているの。
Aチームリーダー:あれ、PMOはチームをまたがる課題を解決してくれるのではないのですか。
PMO:もちろんそうだけど、チームをまたがる全ての課題を解決することはできません。PMOは全体の課題のテコ入れはするけれど、チーム同士で打ち合わせもしていない状況では支援できませんよ。
Aチームリーダー:それなら、PMOは何のためにいるんだい。
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プロジェクトにPMOを設置してみたものの、PMOはいったいどんな役割・責任を担うべき組織なのか、曖昧なままプロジェクトを推進してしまうと、上記のような問題が多発します。プロジェクトメンバーの一人ひとりがPMOに対して異なるイメージを持っていると、PMOはメンバー全員の期待には応えられません。その結果、PMOに対して様々な不満が出てきます。
PMOにとっては、ここがちょっとした勝負どころです。PMOが強い信念を持っていないと、メンバーの不満を解消しようとして、本来のタスクではない作業にまで手を出したくなるでしょう。
しかし、PMOは手を出すべきではありません。PMOに余裕がある状況なら許されそうに思われるかもしれませんが、そうではないのです。PMOが本来のタスクの範囲を越えて手助けすると、それを見たメンバーが「この仕事はPMOがやってくれる」と思うようになります。そしてPMOが忙しくなってきても、同じようにPMOのサポートを求めてくるでしょう。
PMOは、プロジェクトの行方を左右するような重要な課題解決に取り組む傍らで、優先順位がずっと低い仕事も進めなくてはなりません。こんな状況が続けば、PMOもプロジェクトも崩壊の危機にさらされてしまいます。
PMOの人件費 < プロジェクト全体の生産性向上
ズバリ、PMOの役割は「プロジェクトの生産性を高めること」です。言い換えると「プロジェクトの状況を見える化し、無駄を取り除いて効率的にプロジェクトを運営していくこと」となります。PMOは決して事務局や庶務係ではなく、コストセンターでもありません。プロジェクトに内在する無駄な工数を削減し、結果としてプロジェクトに利益をもたらす役割を担っています。
「プロジェクトの予算が厳しいから、PMOは設置できない」と言うプロジェクトマネジャーには、こう提案したいと考えています。
「PMOを参画させれば、プロジェクト全体から無駄な工数を削減することが可能です。PMOがプロジェクトの生産性を高め、予算削減とスケジュール順守につながるからです」
チームリーダーが月に使っているマネジメント工数を全体の5割程度(1日稼働8時間・月160時間稼働の前提で80時間)だと仮定し、そのうちPMOがマネジメントプロセスの改善(無駄取り)をすることにより、リーダーのマネジメント工数を3割削減させた場合、毎月24時間の工数削減になります。
リーダーの人数が増えるほど削減工数は大きくなるため、マネジメントの役割を担うリーダーが7人を超えたら、単純に1人分のPMOの工数が捻出可能となります。もちろん、無駄取りの効果はリーダーだけでなくメンバーにも影響してきますので、それ以上の効果が見込めるでしょう。
PMOの人数はプロジェクト総人数の8%前後に
当社がこれまでに手掛けたプロジェクトの実績から、PMOの人数をプロジェクト総人数の8%前後にするのが最もうまくいく割合だと考えています。従って、プロジェクトメンバーが13人あたりから専任のPMOを設置していくのがよいといえます。
様々なマネジメントプロセスを導入・定着させ、無駄な作業を減らすことによって工数削減につなげます。PMOは当然ながら、自らの人件費を上回るだけの生産性アップを図るため、最も優先度が高い課題の解決に全力を挙げるべきです。この感覚がないPMOは認識を改めるべきでしょう。また、PMOを生かすためには、PMO以外のメンバーにもこの認識を持ってもらう必要があります。プロジェクトにこういう認識がないと、本来PMOがすべきでないタスクをしないとPMOの評価が下がり、PMOは余計な仕事にばかり手を出してしまいます。そうなるとプロジェクトマネジメントは負のスパイラルに陥り、プロジェクトの成功から遠ざかっていく恐れがあります。