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プロジェクトを失敗させないヒント6『PMOとマネジメントの本質』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは
本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
PMOが実践すべきManagementとは、決してお役所的な管理(Control)にとどまっていてはいけません。PMOには、現場に下りて、意思決定に役立つ情報提供や生産性向上のための活動が求められます。こうした積極策が、プロジェクトのマネジメント品質を高める第一歩になります。
PMOは、日本語では「プロジェクト管理オフィス」と訳されることがあります。この日本語訳に文句をつけるつもりはありませんが、「管理」という言葉の響きがいかにも、お役所的な仕事を連想させるため、その点では大きな違和感を持つことがあります。みなさんも「管理」と「マネジメント」の持つ響きの違いを理解し、それぞれ無意識に使い分けていることと思います。
私は日本語の「管理」の意味は、Managementではなく、Controlに近いと考えています。やや哲学的に聞こえるかもしれませんが、以下の解釈が非常に参考になると思います。
「マネジメントとは、正しいことをするという意味である。これに対し、コントロールとは、事を正しくするという意味であり、マネジメントとは違う。日本企業は一般に、コントロールについては卓越しているが、マネジメントの仕組みを真に確立しているとは言い難い。仕組みを確立するに当たっては、包括的なマネジメント体系を取り入れる必要がある。それがプロジェクトマネジメントである」。日本企業にとってプロジェクトマネジメントが必要な理由を、プロジェクトプロの峯本展夫代表はこう説明しています。
第一歩はマネジメントの意思決定に生かすこと
「マネジメントとコントロールは違う」という記事からの引用ですが、PMOに関してもまさに同じことが言えます。定型的な管理業務なくしてマネジメントの意思決定は行えませんが、単に決められたルールに従って管理業務をこなすだけなら、それはPMOではなく、PCO(プロジェクト・コントロール・オフィス)と表現すべきでしょう。現在プロジェクトマネジャーからもプロジェクトメンバーからも"管理屋"としてしか見られていないPMOは、PCOから真のPMOへ進化すべきです。そういう意味において、「ありがたみのある組織への脱皮」が必要です。
では、具体的にどのように脱皮すべきなのでしょうか。これまで管理してきた内容を、マネジメントの意思決定に利用していくところから始めてみればいいでしょう。課題管理なら、管理票のテンプレートを渡して起票させ、ステータスを確認するだけでなく、遅延している課題の原因分析や課題解決のためのミーティングを開催したり、プロジェクトマネジャーに対して迅速にレポートを出したりすることも脱皮へ向けた第一歩となります。
また、PMOはもっと現場に下りて行くべきです。プロジェクトの現場では管理工数をできるだけ減らしたいと思っていますが、時には現場の生産性を向上させるための積極策も必要です。PMO自らが現場の生産性向上に率先して取り組めば、PMOは頼られる存在となり、ありがたみのある組織となることでしょう。
リスクを最小限に抑えつつ、リスクを取りにいく
もちろん、あまり手厚くサポートしすぎると、今度はPMOの管理工数が逼迫してきますが、それを恐れてしまうと前に進みません。マネジメントとして何かを成し遂げるために取るべきアクションがあれば、「リスクを最小限に抑えつつ、リスクを取りにいく」。これがマネジメントに本質的に求められていることです。マネジメントは机上の学問ではなく、成果を出すべき実務です。真のプロジェクト・マネジメント・オフィスとなるためには、プロジェクトマネジャーと同じ視点で考え、現場レベルのことにも手を下す。そのような心意気が必要なのではないかと考えます。