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プロジェクトを失敗させないヒント17『PMOの存在価値を数値化してみる』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは
本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
PMOの永遠的な命題として、「存在価値を数値化できるのか」があります。PMOの存在価値としての数値化について考えてみましょう。
本書で一貫して述べているPMOの仕事の1つは、プロジェクト関係者が気持ちよく働ける環境を作ることです。ここで「気持ちよく働ける環境」とは、いったいどんな環境でしょうか。それは、自分が本来やるべき(自分にしかできない)作業に専念できることです。
例えば、仕事をチームに割り当てて統合する取りまとめ役がプロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーなのですが、その仕事について、よく不平不満が出ます。なぜなら両者にとって、取りまとめは本来自分にしかできない仕事ではないし、取りまとめるための情報収集や報告資料の作成などに多くの時間を奪われているからです。とても両者が気持ちよく働ける環境とは言えません。
図1◎1カ月の作業の割合を見える化してみる
図2◎見える化した結果から分かったことの例
プロジェクトマネジャーの作業の見える化
では両者は、本来やるべき作業にどのくらい時間を使えているのでしょうか。それらはPMOが肩代わりできるものでしょうか。
図1を見てください。両者が本来自分がやるべき作業(自分にしかできない作業)にどれだけ集中できているかを見える化するチェックシートです。この表を使って、1カ月にどんな作業をどのくらいの割合でしているか、見える化してみてください。
図2は、あるプロジェクトにおけるプロジェクトマネジャーの1カ月の作業内容を示した例です。上の2つの項目(プロジェクトの推進に必要な意思決定活動、両者にしかできない根回し)は本来両者が実施すべき作業です。
逆に、その他の項目は、PMOのようなスタッフ組織が代替可能な作業です(区分けは業種や企業文化、プロジェクトによって異なってくると思いますので、現状に合わせて見直すとよいでしょう)。このように見える化することで、プロジェクトマネジメントの現状が見えてきます。案外、自分が本来やらなければならない作業に十分な時間をかけられていないことに驚くのではないでしょうか。
プロジェクトを進めるための意思決定について、プロジェクトマネジャーが情報を集めるところからやっていると、決定すべき項目が多過ぎて意思決定が追いつかなくなります。結果的にプロジェクトが停滞してしまいます。
そこでPMOが、両者の仕事の一部を代行してみたらどうなるでしょう。意思決定のためのインプットを整理し、報告資料を作成し、両者に代わって関係者間の認識合わせや根回しをしていくことで、両者が自分にしかできない作業に集中できる環境を作っていけます。
もっと言えば、図1にある「プロジェクトの推進に必要な意思決定活動」とは、本来はプロジェクトの「先の先」を考えて未来の計画書を詳細化し、リスクを先回りしてつぶしていくのが理想の姿です。決して、今の問題に対応できていることだけが「プロジェクトの推進に必要な意思決定活動」ではありません。両者がそのような理想に少しでも近づくために、PMOをうまく活用していく必要があるのです。
このような図を使うことで、PMOの価値を数値化してみることが可能になります。図2の各業務の割合に、1カ月のプロジェクトに費やした時間を掛けてみます。ここから何が読み取れるでしょうか。
プロジェクトに費やした1カ月の総時間を、160時間としてみましょう。
すると、本来両者がやるべきであった作業に、わずか48時間しか取り組めなかったことになります。プロジェクトマネジャーとしての作業効率は30%程度ということです。
ここにPMOが入って、両者の本来の仕事ではない部分を肩代わりすれば、プロジェクトマネジャーとしての作業効率を100%(160時間)に近づけることができるようになります。その差分がPMOの価値と見なすことができるわけです。