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プロジェクトを失敗させないヒント26『相談しやすいマネジメント人材の条件』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは
本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
PMOのスタッフとして「相談しやすい人」と「相談しにくい人」がいるのが実情です。
「進捗報告では大丈夫と言ったけれど、本当はAさんの品質が悪くて危ないんだよな。でも、プロジェクトマネジャーのXさんに言っても、『お前が何とかしろ』と言われるだけだし」--。
いくらマネジメントプロセスを徹底しようが、いくら進捗報告のレベルを改善しようが、人間関係に内在する問題まであぶり出すことはできません。全てを正直に報告してしまうと波風が立つので、"大人"の対応をしてしまうこともあるでしょう。
「ベンダーBはできもしないあるべき論ばっかりなんだけど、うちの上司は気に入っているし、仕方ないか。会社同士の関係もあるしな」--。リスクとして表に出したいことであっても、立場上言えないこともあるのではないでしょうか。リスク会議の場でも、利害関係が絡み合っていると、なかなか本音ベースで話し合うことはできません。
ベテランばかりのPMOは機能不全に陥りやすい
このような時、中立的な立場のPMOが受け皿となり、根回し的な調整を行うと効果的です。しかし、PMOのスタッフ構成によっては、うまく機能しない場合が多々あります。
プロジェクトメンバーが相談しにくいパターンとしてよくあるのは、PMOのスタッフがベテランで固められている場合です。特に、プロジェクトマネジャーとして経験の長いスタッフばかりだと、メンバーが相談を持ちかけても、逆に説教されてしまう恐れがあります。また、PMOのスタッフが、いわゆる管理色の強い人だと、相談しても通り一遍の対応しかしてくれないという場合もあります。
こうした問題が出てくるのも、「PMOとして何をどこまでやるべきか」というPMO自らの立ち位置に、明確な指針が示されていないことが一因だと思います。ただし、いくらPMOの機能や指針が明確になったとしても、その機能を担う人が適切に配置されていなければ、うまく作用しません。では、どのようなスタッフィングを行うべきでしょうか。
マネジメント経験5~10年で志のある人が適任
私はPMOのスタッフィングを考える際、いつも3つの層に分けます。(1)事務局的な役割を担う層、(2)管理プロセスや管理標準を導入する層、(3)様々な問題解決を促進する層です。それぞれの層に対するスタッフィングを考えると、各層の役割が明確になり、どのようなスキルや経験の人が適当か分かりやすくなります。
「人間関係に内在する問題を調整する」という今回のテーマにおいて重要なのは、(3)のスタッフです。しかし、前述した通り、経験豊富なスタッフだとプロジェクトメンバーが相談しにくい場合があります。逆に、若すぎて未熟なスタッフだと、アドバイスを聞き入れてくれないこともあるでしょう。
私が最適だと思う人材像は、プロジェクトを客観的な立場で見ることができ、相談もしやすい「マネジメント経験年数が5~10年」、年齢でいうと「20代後半から30代くらい」のスタッフです。
もちろん、そのスタッフの経験内容も考慮すべきですが、将来的にプロジェクトマネジャーとしてのスキルを身に付けたい人、プロジェクトマネジメントを極めたいという志を持っている人であれば適任だと思います。プロジェクトマネジャーの志願者が少ないという話もよく耳にしますが、PMOという場で経験を積み、 いつかプロジェクトマネジャーとして巣立っていくことを願ってやみません。