プロジェクトを失敗させないヒント28『職人を生かす環境作り』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます


    メンバーの中には、職人と呼ばれる人が1人や2人はいます。職人はパフォーマンスが高く、高品質な成果物を作りますが、それがあだとなってプロジェクトの生産性を下げるケースが多いものです。それは、顧客が全ての成果物に"職人品質"を求めるからです。そんな時、PMOはプロジェクト全体が過剰品質にならないよう、職人技を生かす場作りをします。

    みなさんのプロジェクトの中にも、「ここまで書くか」というくらい詳細な業務フローを書いたり、高品質なプログラムを他のメンバーの2倍以上のスピードでコーディングしたりできる職人がいるのではないでしょうか。このようなスーパーマンはモチベーションが高く、高品質な成果物を作るため、非常に貴重な存在です。

    ただし、PMOが職人の振る舞いをある程度導いてあげないと、意外にもプロジェクト全体としての生産性が落ちるケースが多々あります。それは、職人はスキルもパフォーマンスも高いため、「過剰な品質」を作り込んでしまいやすいためです。職人の手で過剰に作り込まれた品質に対し、「他のメンバーが受け持つ他の部分の品質が"過剰な品質"に追いつけない」という現象が発生します。

    顧客は一番高いレベルに合わせて、全体品質を求める

    PMBOKには品質の定義として「本来備わっている特性がまとまって、要求事項を満たす度合い」としています。ここで言う品質の要求事項とは、「プロジェクト計画書などで定義されたコストや期間を考慮しつつ、プロジェクトの目的を満たせられる品質」だと言い換えられます。

    ポイントは「過剰な品質は不要」ということです。大げさに言うなら、社内のコミュニケーションツールを作るのに、スペースシャトルの通信システムのような、絶対に故障を起こさないほどの信頼性や冗長性は不要です。PMOはプロジェクト計画書で定義された適切な品質を目標として、品質をコントロールしていかなければならないのです。そうしないと、予算や納期を守れません。

    職人が作る成果物は、高品質で素晴らしいものです。しかし、顧客から見ると、その一番高い品質の成果物が基準になってしまいがちです。他のメンバーが作る成果物にも、その職人品質を求めてきます。

    あなたが顧客の立場ならどうでしょう。品質がばらついていたら、きっと品質の高い方にそろえてくれと要求するでしょう。こうなると、プロジェクトとしては大きな問題です。顧客が求める品質と、平均的なスキルのメンバーが作る成果物の品質にギャップができてしまうのです。

    では、職人に「他のメンバーの品質に合わせて成果物を作ってくれ」と指示すればよいのでしょうか。それはあり得ない指示です。職人を有効活用できないばかりか、職人のモチベーションを下げてしまいます。

    そればかりか、プロジェクト全体への悪影響も懸念されます。職人と呼ばれる人々はそもそも"声の大きい人"であり、非公式な場で大きな力、大きな影響力を持つ場合があります。

    PMOとして、職人が活躍できる場を設け、プロジェクト全体の品質向上を図るべきです。職人の活躍の場として、4つの役割が考えられます。

    1. チーム間の成果物を横断的にレビューし、整合性を取る役割を与える
    2. 手順書やマニュアル、サンプルを作成してもらう
    3. 標準化ルールを作成し、メンバーの成果物のチェックをしてもらう
    4. 次の工程で必須となる、難易度の高い課題を先行して担当してもらう

    参考にしてみてください。