プロジェクトを失敗させないヒント44『小規模プロジェクトに本当に必要な管理』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


     

    プロジェクト管理における計画書を作成し、それにのっとってプロジェクトを進める─。これがPMOの役割です。しかし、プロジェクトの規模を考えずに同じことをやって、本当にうまくいくでしょうか。人数に対して管理工数が重くなれば、スピードが求められる小規模プロジェクトはつぶれてしまいます。小規模プロジェクトでは、個別のプロジェクトに合わせた管理方法の検討が特に重要になっています。

    『[ヒント43]小規模プロジェクトでもPMOは生かせる』で、小規模プロジェクトでのPMOの活用について述べましたが、小~中規模プロジェクトに参画すると、プロジェクト管理がうまく適用されていないケースが多く見られます。規模が小さいからとか、人数が少ないから把握できるといった理由をこじ付けて、あらゆる管理をないがしろにしている場合が多いのではないでしょうか。

    小規模プロジェクトでは確かに目先の状況を把握できているのですが、先のフェーズのことまで考慮して、本当にプロジェクト全体を把握できているケースは多くありません。そのため、PMOとしてプロジェクトに参画すると、まずは状況を見える化して、先のフェーズまで含めた情報収集を開始することになるでしょう。もちろん、その動き自体は間違っていません。ですが、その方法と力の入れ具合には注意が必要です。プロジェクトの特徴や事情、人数や文化に合わせた管理を導入していく必要があるからです。

    私の経験を紹介します。40人月程度の小~中規模プロジェクトでの話です。テストフェーズでプロジェクトが混乱しており、立て直しに参画しました。まず、プロジェクトで作成していた資料を見ると、前任者によってテスト計画書がしっかりと作成されていました。内容も充実したものでした。しかし、現場ではこの計画書が全く守られていません。理由は次の4つでした。


    (1)実施したことがない「必要以上に詳細な管理項目」が設定されている
    (2)テスト計画書が長大で、メンバーが気軽に参照できない
    (3)ルールが詳細に規定されすぎていて、外れてしまった時に対応できない
    (4)そもそもメンバーへのテスト計画書の説明が足りない

    前任者の作成したテスト計画書に記されていることは間違っていません。ですが、その時のプロジェクトチームには全く適合していませんでした。私は参画してすぐに、「メンバーが一目で分かるレベル」まで情報をそぎ落とした資料を作成し、配り直しました。それにより、プロジェクトは少しずつ混乱から抜け出し、ゴールに向けて動き始めました。

    身の丈に合わない管理は撤廃すべき


    上記は、管理の枠組みはできているにもかかわらず、うまく運用できなかった例です。このチームの中核メンバーには、「人数が少ないから把握できる」という文化が根付いていました。メンバーを増やしてやや規模が大きくなっても、同様の管理レベルで対応しようとして、苦しんでいたのです。そこで、前任者はしっかりとした計画書を作成し、チームをコントロールしようとしたわけですが、定着するどころか、かえって混乱を招きました。

    この管理方法は、10人に満たないプロジェクトメンバーからすると、なぜここまで必要なのか理解できないものだったと言えるでしょう。もちろん、説明が足りないことも大きな原因の1つです。加えて、取得したい情報や管理したい内容が、規模に対して過剰だったのです。

    どんなプロジェクトでも同じですが、過去の経験やPMBOKなどの知識にあまり捉われずに、本当に必要な情報だけを収集する仕組みを考える必要があります。