プロジェクトを失敗させないヒント46『プロジェクト管理ツールを使い倒す』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


    現在のプロジェクトマネジメントにおいて、ある程度規模が大きくなるとプロジェクト管理ツールは必要不可欠になります。しかし、管理ツールを入れただけのプロジェクトが少なくありません。管理ツールを使い倒すために考慮したいポイントについて考えてみましょう。

    みなさんもプロジェクト管理ツールを利用したことがあると思います。現在はフリーソフトも多く、様々な選択肢があります。簡単なマクロを使って作成した表計算シートを使いこなしているのであれば、それも立派なツールと言えます。それでは、プロジェクト管理ツールは何のために入れるのでしょうか。一番の目的はやはり、プロジェクトで発生する膨大な情報をシステムで管理することによる、プロジェクト状況の見える化です。

    管理ツールを使ってプロジェクトを見える化する話は至るところにありますので、今回はプロジェクトの見える化を越えて、より現場の生産性を上げるための管理ツールの使い倒し方を考えてみます。見える化以外に、管理ツールの導入メリットは5つあります。


    (1)コミュニケーションの取引コストを下げる
    (2)プロジェクト内のすき間を埋める
    (3)プロジェクトの課題処理速度(意思決定)を高める
    (4)運用ルールを定着させる
    (5)プロジェクトマネジメントの教育を肩代わりする


    プロジェクト管理ツールの導入の際には、これらのメリットも最大限に享受できるように考慮すると、現場の生産性を高めることが可能になります。それでは5つを順に見ていきます。※(3)~(5)は、ヒント47(今後公開)で取り上げます。


    (1)コミュニケーションの取引コストを下げる


    プロジェクトを進めるなかで、関係者はコミュニケーションを取りながら、推進していきます。個人がそれぞれ1対1のコミュニケーションを取ると仮定すると、メンバー数(n)に対するコミュニケーションパスの数は、「n(n-1)/2」で表すことができます。6人のプロジェクトだと、コミュニケーションパスは15通りとなり、それだけコミュニケーションの取引コストがかかります(図8)。

    スライド1

    ここにプロジェクト管理ツールを入れ、必要な情報を管理ツールで集めると、コミュニケーションパスは管理ツールへのアクセスパスである6通りで済みます。プロジェクトの参加人数が多くなればなるほど、そのメリットは大きくなります。また管理ツールには、登録はほぼリアルタイムで参照は非同期という利点があります。関係者の時間を束縛せず、自分が見たい時(時間がある時)に最新の状況を参照できるということは、関係者が自分の本来の作業を邪魔されずに実施できる、ということにつながります。


    そのうえで、こうしたメリットをきちんと享受するためには、情報の責任者を明確にしておくことが欠かせません。よく現場で起こる問題として、「知らない間に勝手にある課題の主担当にされていたが、誰が責任をもって動いていたのかが分からない」というパターンがあります。誰しも一度は経験があるでしょう。このように「プロジェクト管理ツールに登録して割り振ったもの勝ち」という運用をしていると、管理ツールを利用して単に仕事を押し付けているだけになってしまいます。これでは管理ツールを入れた意味がありません。そうならないように、管理ツールに登録された内容について、「誰が責任者なのか」をきちんと割り振る仕組みやルールを確立する必要があります。


    (2)プロジェクト内のすき間を埋める


    次に(2)のメリットについて考えます。『[ヒント95]新任PMOが悩む立ち位置2』(今後公開)で、プロジェクトに潜むすき間について触れています。先に少し説明すると、プロジェクトの「人と人」「組織と組織」「プロセスとプロセス」「ツールとツール」のそれぞれの間にはすき間ができやすいものです。そういうすき間を作らず、すき間に必要な情報がこぼれ落ちないようにすることが重要です。そのすき間を埋める仕組みとして、プロジェクト管理ツールをうまく使うとよいでしょう。

    すき間を埋めることはPMOの仕事ですが、それをプロジェクト管理ツールで補うことができれば、膨大な情報量を効率よくさばくことができます。ポイントは「ツールとツール」「プロセスとプロセス」の間を、管理ツールでいかにつないでいくかという点です。

    例えば、「課題管理プロセス」「変更管理プロセス」「コスト管理プロセス」「進捗管理プロセス」という4つのプロセスがあり、それぞれを「課題管理ツール」「変更管理ツール」「コスト管理ツール」「進捗管理ツール」で見ていたとします。勘のいい人はお分かりと思いますが、それぞれのツールとプロセスは当然つながっているのです。いいプロジェクト管理ツールというのは、そのつながりをシームレスに実現しているといえます。

    次のようなケースを考えてみましょう。ある大きな課題が発生した(課題管理プロセス/ツール)→その課題に対応するため要件が変更→変更管理ツールで変更内容を管理する(変更管理プロセス/ツール)→この変更のために要員2人分(500万円)の追加コストが発生→コスト管理ツールでコスト修正(コスト管理プロセス/ツール)→課題対応のため2人の要員がアサインされ、スケジュールが変更(リソース管理プロセス)→進捗管理ツールでタスクと要員を追加(進捗管理プロセス/ツール)。

    このような活動のなかで、もし各ツールやプロセスがバラバラなら、図9の(1)~(5)の間をプロジェクトマネジャーやPMOがつないでいかないと、全体の整合性が取れなくなってしまいます。

    これでは各プロセスの情報を単に電子化しただけで、プロジェクトマネジメントの品質向上や効率化にはつながりません。各管理ツール間や各プロセス間をシームレスにつなげられるプロジェクト管理ツールを導入するか、各管理プロセスをうまくつなげるプロセスを運用ルールとして用いながらPMOが介在していけば、より生産性を高めていくことができます。

    スライド1-1