プロジェクトを失敗させないヒント48『リスク感度を合わせ、問題発生時に一丸になる』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


    プロジェクトのリスクと一言で言っても、感じ方は人それぞれです。曖昧にしておくと、いざという時、プロジェクトの足並みがそろいません。プロジェクトマネジメントのリスクはどのように管理されるべきでしょうか。

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    Aチームリーダー:地震なんてそうそう発生しないし、発生したとしても自分は大丈夫。人間、そう簡単に死なないもんだよ。

    Bチームリーダー:そろそろ地震が起こるだろうな。大地震でも崩壊しない家を建てて、保険にも加入し、準備万端にしておこう。

    Cチームリーダー:もしかしたら地震が発生するかもしれないぞ。水と食料は用意しておこう。帰宅支援マップも買っておかなくちゃ。
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    もし地震が起こったら。この例のように、将来発生するかもしれない出来事への考え方は千差万別です。どれくらいの確率で発生すると感じているか、いざ起こった時のためにどれだけ準備をしておくか、人それぞれでしょう。



    リスク感度が「人それぞれ」では危ない


    日常生活のことであれば、個人の責任において人それぞれで構いません。しかし、プロジェクトではメンバーで認識を合わせ、プロジェクトとして準備をしておく必要があります。

    そこで通常、リスク管理表を作り、リスクの発生確率、影響度、対応策を検討します。ところが個々のリスクについて検討すると、リスクに対する感度、つまり受け取り方が人によって異なるため、意見の食い違いが生じます。

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    Aチームリーダー:ユーザーは繁忙期でテストに時間が取れないかもしれない。プロジェクトマネジャー経由で各部門に依頼を出してもらおう。

    Bチームリーダー:ユーザーは繁忙期だけど、テストに必要なメンバーは出してもらえるだろう。実際にテストを開始してみて、参加率が低かったら対応を検討すればいいと思う。
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    このような場合、PMOはプロジェクトマネジャー、Aさん、Bさん、その他のリーダーを一同に集め、「繁忙期のユーザーがどれだけプロジェクトに参画するか」について話し合い、リスクへの感度を合わせるようにします。

    このミーティングでは、それぞれが感じていることを共有するのが大事ですので、満遍なく意見を集めてくることがPMOに求められます。PMOはあえて、正反対の意見を出してみるのもいいでしょう。また、テーマを決めず、各メンバーが感じているリスクについて自由に意見を出してもらい、メンバーの懸念事項を共有することも大切です。

    多くのプロジェクトでは、「リスクの発生確率が80%なのか、60%なのか」などを議論し、管理上の落としどころを探す議論をしています。このような議論では、管理するための決め事の議論を行っているだけで、対応の方向性について意識合わせをしているわけではありません。プロジェクト内での意識合わせをせずにいると、いざという時、足並みがそろわない可能性があります。

    決め事を議論するよりも重要なことは、なぜそのリスクが発生するのかについて、具体的な個々人の経験、事実を積み上げた「論理的な検証」です。論理的に積み上げた議論であれば、各メンバーのリスク感度を合わせ、リスクに対して足並みをそろえることが可能になります。

    この足並みをそろえるというお膳立てをし、定期的にリスク感度を合わせる場を設けることが、PMOの役割となります。これから発生するかもしれない出来事への事前対応が可能となるのはもちろんですが、プロジェクトメンバーの懸念事項が共有されると、組織としての一体感が出てきます。ここがリスクマネジメントの重要なポイントの1つです。