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プロジェクトを失敗させないヒント59『ボトルネックが一目で分かる進捗管理』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは
本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
どんなプロジェクトでも必要な管理作業は「進捗管理」です。やり方は色々ですが、「プロセス単位の進捗管理」を心がけてみてください。
この方法なら、プロジェクトのボトルネックを一目であぶり出せます。プロセス単位で進捗管理する方法について、私が実施している考慮点と併せて解説します。
みなさんが進捗管理を実施する目的は何でしょうか。プロジェクトの各タスクの進み具合を管理して、遅延しているタスクを明らかにし、対策を打つためだと思います。しかし、進捗管理の仕方によっては、「どこに遅延の原因があるのか」「遅延原因を本当に正しく把握しているのか」「原因に対して正しい対策を計画しているのか」が見えてこない場合があります。
進捗管理の目的は、プロジェクトを計画したスケジュール通りに進めること。それならば、計画通りに進めるにはどうすればよいかが、進捗管理の結果からおのずと見えてくるのが理想です。そこで、私がPMOとして利用している進捗管理方法は、成果物作成の一つひとつのプロセス単位で進捗管理を行う方法です。
設計書1本の進捗は分かっても、遅れの原因は見えず
まずは一般的な進捗管理方法を見てみましょう(図11 png)。あるシステムで200本の設計書を作成する場合、みなさんはどのような進捗管理を実施するでしょうか。よくあるのは、設計書の完了予定と実績を1本ずつ管理したり、全数のうちの完了数を%で数値化したりするものです。
図11 ◎一般的な進捗管理は分かりにくい
ただし、このような進捗管理では、何がボトルネックで遅延が発生しているのかが分かりにくいのです。設計書1本ごとの着手から完了までの状況がよく分かりません。プロジェクトによっては「着手したら進捗率10%」「作成完了で50%」「レビュー終了で80%」といったルールを決めて進捗率(%)を把握するところもあるようです。しかし、これを用いても、着手から完了までの間の何が原因で進捗が遅れているのか、分からないのが実情です。
次に、図12(png)を見てください。同じように設計書を作るというタスクで、
(1)設計書作成 →(2)設計書1次レビュー →(3)1次レビュー結果反映 →(4)設計書2次レビュー →(5)2次レビュー結果反映、のように細かなプロセスに分解します。フェーズによっては「画面標準化の確認」や「帳票イメージの確認」などもっと細かくプロセスを分けてもいいですし、オフショア開発しているなら、オフショア先のレビューと日本側の受け入れ、それぞれのプロセスがあってもいいです。そしてプロセスごとに「完了数/全数」と「完了実施数/完了予定数」を把握していきます。
図12 ◎プロセスレベルの進捗管理
この管理方法の優れたところは、設計書を完成させるという一連のプロセスのどこにボトルネックがあるかを見える化できることです。(3)1次レビュー結果反映までは完了予定に対しての実績が100%であるのに、(4)設計書2次レビューについての実績が50%ぐらいであるならば、2次レビューがボトルネックになっていることが分かります。
このレベルでボトルネックを特定できれば、「2次レビューの担当者がレビュー時間を十分に取れていないのか」「レビューアーの数に対してレビュー対象物が多すぎるのか」「2次レビューアーの知識不足でレビューに時間がかかりすぎているのか」など、原因の当たりを付けやすくなり、またその原因に対して正しい対応も取りやすくなります。実際の現場では、これらの数字から生産性を求めます。それを基に「このままいったとして、残りの期間で完成するか」「残りの期間から1日に完了すべき本数は幾つか」といった指標を出すなど、色々な情報を付加して現場と共有します。