プロジェクトを失敗させないヒント60『チーム間の遠慮を打ち砕く』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


    プロジェクト内の各チームは互いに遠慮している場合が多く、これが対面コミュニケーションの不足を引き起こす一因となっています。チーム間の壁を壊し、対面コミュニケーションを増やすには、PMOがファシリテーション能力を発揮する必要があります。それは、コミュニケーションを一変させるほどの効果を生むかもしれません。

    プロジェクトを進めていくと「チーム間の風通しが悪い」「コミュニケーションが取れていない」という問題がしばしば起こります。特に、大規模プロジェクトでチームが多数存在する場合や、複数ベンダーでプロジェクトを進めている場合は、必ずと言っていいほどコミュニケーション不足の問題に直面します。例えば、ユーザー側で追加要件が発生し、自チームだけでなく他のチームにも影響が及ぶ場合、他のチームに影響分析を依頼しなければなりません。この時、メールで依頼するだけで済ませているケースがよく見受けられます。

    確かに、プロジェクトにはスケジュールや期限がありますので、素早く追加要件を依頼して、さばいていくことが求められます。メンバー全員に同じ内容を伝える手段としてメールは有効です。しかし、メールだけでは認識のズレ(とそれに伴う品質低下)が発生することを、誰もが経験しているでしょう。会話が少ない静かな現場に、不安を覚えるマネジメント層も多いと思います。

    なぜ、メールへの依存体質を改善できないのでしょうか。私は遠慮と面倒というチームメンバーの気持ちが原因の1つだと考えます。先の例では「この程度の軽い追加要件で、多忙を極める各チームを集めて会議を開くのは申し訳ない」という遠慮の気持ちが起こりやすいものです。また、関係チームが多かったり、他社メンバーと相談したりしなければならない時に、「あまり面識がない他チームのメンバーと打ち合わせるのは煩わしい」という面倒臭さが、心の中でむくむくと頭をもたげてきます。こうした気持ちがメンバーを対面コミュニケーションから遠ざけ、メールでの伝達で済ませてしまうのだと思います。

    そこで、1つの打開策として、PMOが会議をファシリテートすることが挙げられます。軽い追加要件であっても、少しでも懸念すべき点があるなら、会議を開き、資料には書かれていないリスクを共有すべきです。初対面のメンバーとの打ち合わせでは、お互い緊張してしまうものですが、PMOが間に入ってフォローすれば、コミュニケーションを円滑にできるはずです。

    関係チームが多数の場合や作業場所が離れている場合なら、なおさらPMOが会議をアレンジすべきです。会議時間と場所を調整する手間をなくすことで、会議の開催者(追加要件が発生したチームのメンバー)は会議に集中できるようになります。

    PMOがお膳立てすれば、コミュニケーションは一変する

    私の経験上、会議前は各メンバーが乗り気でない場合でも、会議が始まると色々な課題が出てきますし、それに伴い要件の深掘りや精査が進みます。メールでは簡単な質問をしづらいものですが、対面のコミュニケーションであれば気軽にできます。確認程度の簡単な質問が、意外と重要だったりするものです。

    会議が終わった時には「ちょっとしたことでも、関係チームが集まって課題を確認できてよかった」「こういうミーティングをプロジェクトの初期段階から、どんどんやるべきだった」などの言葉をいただいたことがあります。会議後もなかなか自分の席に戻らず、別要件の話を続けている光景を見ると、プロジェクト内のコミュニケーションがいかに不足していたのかと痛感すると同時に、ちょっとした工夫でコミュニケーションは一変するのだなと実感します。