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プロジェクトを失敗させないヒント64『現場からの報告精度を上げる』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
定期的に進捗会議を開いても、現場の状況が見えてこないことがあります。そんな時はPMOとリーダーで事前に打ち合わせを行い、進捗状況の深掘り(原因・本質の追究)をすることで、現場からの報告精度を改善していく手があります。進捗会議のなかで、次のような報告を聞いたことはないですか。
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Aチームリーダー:作業Aが予定より3日遅れています。来週は作業Aについて要員を追加することでリカバリーする予定です。
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一見、遅れが明確になっていて、リカバリー策が提示されているので、進捗報告としては良いような気がします。ただ、「なぜ作業Aが遅れたのか」と、「作業Aが遅れることによる全体への影響」が明確になっていません。
原因追究と影響分析の2点は、現場のリーダーがつい見落としがちになるものです。改善策としては、進捗報告フォーマットに「遅延作業」「遅延日数」「作業工数」「原因」「影響(他のチーム作業、QCD)」「リカバリー策」「取り戻し時期」を記載する欄を設けることが挙げられます。
ただし、進捗報告フォーマットに上記の項目を追加しても、なかなか報告の質が変わらないこともあります。というのも、原因追究と影響分析というのは、リーダー1人で行うことが難しい作業だからです。
自チームの進捗遅れの原因を突つかれたくない
原因を追究する作業は、自チーム内に責任がある場合、リーダーにとっては非常につらいものです。それ故、原因を曖昧にしてしまいがちです。たとえ記載ができたとしても、薄いものになるでしょう。また、現場リーダーとして遅延報告をする際は、やはり引け目があるので、ついつい原因追究よりもリカバリー策の検討に走ってしまう傾向があります。
原因が明確になっていないリカバリー策は、根拠がなく信頼できるものではありません。原因が明確でないと改善につながらない、という問題もあります。影響分析という点でも、現場リーダーの視点は近視眼的になっているケースが多いでしょう。そのため、他のチームへの影響や、フェーズ完了/全体計画のQCDという観点で考えることは難しいのです。
そこで、小回りが利くPMOがサポートすることで改善を手助けします。進捗会議の前に、チームリーダーと報告内容を確認する場を設けるのです。原因追究を進捗会議のなかでやるとギスギスしたものになるので、個別に聞く方が色々と情報が出てきます。
要員の問題など、気にはなっていても相談相手がおらず、リーダーが1人で悩んでいるケースもあります。PMOとの対話のなかで原因の本質を探り、論理的にレポートに記載してもらうようにします。影響分析についても、客観的で全体的な視点を持ったPMOと対話することで、深掘りが可能になります。
意外なことに、個別ヒアリングのなかから重要なリスクがぽろっと出てくるものです。そのようなリスクを拾い上げ、レポートに記載してもらいます。加えて、プロジェクトの方向性やプロジェクトマネジャーが懸念しているポイントをリーダーに伝え、進捗報告に加筆してもらうなど、プロジェクトマネジャーと現場のベクトルを合わせる良い機会になります。遅れがちなTo Doや課題のきめ細かいフォローの場にもなるでしょう。