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プロジェクトを失敗させないヒント65『非公式なコミュニケーションのリスク』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
プロジェクトで生じる様々なコンフリクトを解決する際、関係者に非公式な事前説明(根回し)をして回るやり方は有効ですし、それこそPMOの仕事でもあります。しかし相談相手を見極めないと、プロジェクトを混乱に落とし入れることがあります。
「混乱が予想される議論をスムーズに進めたい」「公式の場で思わしくない話をする時は、ショックを軽減するために、キーパーソンに事前説明しておきたい」「電話でこの話をするのはちょっと」。非公式なコミュニケーションは、このような状況を打開し、仕事を円滑に進めるために有効な手段です。
公式な場では立場上「建前」しか言えない人が多いと思いますが、そんな人でも、非公式な場では本音をぶつけ合えます。利害関係者が互いに歩み寄りながら、プロジェクトの目的に向かって落としどころを探すためには、非公式なコミュニケーションが欠かせません。
しかし、相談相手を間違えると、かえって問題を広げてしまう危険性を秘めています。私が経験した話です。あるプロジェクトで、どうしても仕様変更を受け入れざるを得ない状況になり、稼働時期を1カ月延期しなければならなくなりました。いきなり公式の場で言うと色々と問題が発生すると考え、事前に顧客側の担当者に「5分だけよろしいですか」と声をかけ、カットオーバーの延期について相談を持ちかけました。この後、どうなったと思いますか。私の意図とは逆に、大問題に発展してしまいました。
相談相手の立場や行動パターンを見極める
相談を持ちかけた顧客側の担当者は、自分だけでは如何ともしがたいと考え、上司に「公になっていない問題が発生している」と報告してしまいました。この時点で「非公式の相談」のはずが、「公式的な大問題」に変貌してしまったのです。こちらとしては「あなた(一部の関係者)だけにお話します」「対応策やリスケジュール案を冷静に聞いてください」という意図があったわけですが、それをくみ取ってもらえませんでした。結果、一時的にプロジェクトは騒然となり、問題を収拾するために、想定外の時間と労力をかける事態に陥ってしまったのです。
認識が甘かったと言えば、それまでですが、相談相手の立場や権限、もっと言えば、その人物の行動パターンまで予測しておくべきでした。「5分だけよろしいですか」という非公式的な問いかけは、多くの場合に有効ですが、相談相手がそれにどう反応するか(どう反応してほしいか)を見極めることが重要です。
先の例で言えば、顧客側の担当者に相談の意図を伝えきれなかったことが失敗の原因でした。「次の進捗会議で稼働時期の延期を話し合いたいと考えているが、その対応策やリスケジュール案を冷静に聞いてほしい」という意図を、もっと明確に相手に伝えるべきでした。
根回しとPMOは切っても切れない関係
一般的なプロジェクトマネジメントの書籍には「コンフリクトは表出させて、公に解決していくもの」というガイドラインが示されています。確かに、表には出てこない根回しでPMOが暗躍しすぎると、周囲の反感を買いやすいのも事実です。
しかし、プロジェクト運営を円滑に進めるための根回しは、PMOにとって重要なタスクの1つです。特に日本のプロジェクト(文化)においては、全てを表に出して解決していくよりも、上手に根回しをして事前にある程度の合意を得ておく方が得策といえます。
PMOと根回しは切っても切れない関係にあります。ただし、相談する相手をよく見極めることだけは肝に銘じておきましょう。