プロジェクトを失敗させないヒント66『プロジェクトを成功させる魔法の言葉』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


    プロジェクトを円滑に進める魔法の言葉があると言ったら、みなさんは信じるでしょうか。会話の最初にその枕詞を付けるだけで、プロジェクトがゴールに向かって自然に歩み出す魔法みたいな言葉です。プロジェクトメンバーがその言葉を使い始めると、現場の雰囲気がとても前向きになります。

    PMOとしての重要な活動の1つは、プロジェクト関係者(ステークホルダー)と調整してプロジェクト上の問題を解決していくことです。調整と言っても、協力的でないメンバーや、何かと文句をつけてくる担当者、常に威圧的な上司などと調整してプロジェクトを推進するのは、骨の折れる仕事です。そんな時に有効な言葉が「プロジェクトの成功のために」という枕詞です。

    使い方を紹介します。普通なら「品質が悪いので、スケジュールを延期しなければなりません」と言うところを、「プロジェクトの成功のためには品質を確保しなければなりません。そのためにはスケジュールの延期が必要です」と言うのです。単に枕詞を付けるだけでいいなら「プロジェクトの成功のために、品質が悪いのでスケジュールを延期しなければなりません」になるのではないかと考える人もいると思います。

    両者を比較すると、ニュアンスの違いを感じるはずです。「プロジェクトの成功のためには品質を確保しなければなりません。そのためにはスケジュールの延期が必要です」と言った方が、ずっと前向きなニュアンスを感じ取れます。ここがこの言葉のすごいところです。

    普段の言葉使いがメンバーの意識を変える

    「プロジェクトの成功のために」という枕詞のポイントは、枕詞の最後が「ために」で終わっているところです。つまり、「~のために」の後に言葉を続けるには「~する」や「~が必要」など、何らかの自分の意思表示が文末に必要になってくるのです。

    しかも「プロジェクトの成功のために」と自分で言っている以上、文末に後ろ向きなことは言えません。その結果、自分でも知らずしらずのうちに前向きな言葉を発するようになるのです。話の聞き手側からしても、「プロジェクトの成功のために」と言われれば、非協力的な態度は取りにくくなります。

    もう1つ、この言葉には不思議な作用があります。「プロジェクトの成功のために」とは、プロジェクトマネジャーがいつも考えていることです。この枕詞を日常的に使うようになると、その人はプロジェクトマネジャーと同じ視点で物事を考えたり、判断したりする癖が付きます。

    さらに、この枕詞を流行語のようにプロジェクト内に広めたら、どうなるでしょうか。プロジェクトメンバーと関係者全員がプロジェクトマネジャーと同じ視点で考えるようになり、みんなが「プロジェクトの成功という同じゴールに向かっている」という最高の状態を作ることが可能なのです。その結果、各ステークホルダーや各チームにあるセクショナリズムを排除でき、プロジェクトの風通しや雰囲気も良くなります。

    隠れた枕詞を「プロジェクトの成功のために」に変える

    今までみなさんがプロジェクトのなかで発してきた言葉にも、何らかの“隠れた枕詞”があったと思います。


    ● 「私たちの責任ではないけれど」、品質が悪いのでスケジュールを延期しなければなりません
    ● 「無理なスケジュールを押し付けられて」、品質が悪いのでスケジュールを延期しなければなりません
    ● 「余計な仕事はしたくないから」
    ● 「私たちの業務範囲とは関係ないけれど」

    一読して分かるように、ネガティブな枕詞が多いと思います。これらを「プロジェクトの成功のために」へ置き換えるだけでも効果が得られます。ただし、枕詞を都合よく使って、パートナーを犠牲にしないことです。「プロジェクトの成功のために」パートナーの報酬を削ってもいいとはなりませんし、パートナーに無制限の残業をしろと強要できるわけでもありません。