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プロジェクトを失敗させないヒント67『会議の司令塔になる』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
プロジェクトには多種多様な会議があり、そこには情報の収集、議論、調整、意思の伝達など、プロジェクト運営にとって極めて大切な機能が存在します。この会議が機能不全に陥ると、非常に危険です。プロジェクトマネジャーやPMOは、会議をリードする司令塔にならなければなりません。
「会議がうまく進まない」。誰もが一度は経験したことがあるでしょう。原因を一つひとつ考えてみると、会議をうまく進めるコツが見えてくるはずです。
会議に来てほしいキーパーソンの出席率が悪い
会議がうまく進まない原因の1つとして、キーパーソンの出席率が悪いという問題があります。「鍵を握る人」ですから、毎回出席してもらわないと、問題が生じます。個々のメンバーがそれぞれ考えを述べるだけで、キーパーソンが集約して適切な仕様に落とし込めなくなる(仕様を最終決定できなくなる)ことがあります。こうなるとプロジェクトは遅れ始めます。また、ユーザー側と開発側の両者が出席する全体会議で、お互いのキーパーソンが欠席してしまうと情報共有の場がなくなり、システム化した時に認識違いが顕在化するリスクが生じます。
キーパーソンは大抵多忙なので、会議の日時に他の用事をブッキングしてしまうことがあります。キーパーソンのスケジュールを押さえても、本人が作業の優先度を決めるので、なかなかプロジェクトの都合を通せません。
加えて、キーパーソンが「会議に出なくてもいいのではないか」と思っているケースがあります。それには2つのパターンがあります。キーパーソンに無関係な議題が多く、「だらだらとした会議で時間の無駄」と思われているケース。もう1つは、そもそもキーパーソンが会議の必要性を理解していないケースです。
対策として、まずたくさんある会議体をPMOが整理し、会議の目的と参加者を決めるべきです。全ての会議の参加者と目的を現場メンバーからヒアリングし、その妥当性を吟味する必要があります。それにより、キーパーソンが会議に費やす時間とコストの無駄をなくし、浮いた時間をもっと優先度の高い作業に振り向けられるようにします。
次に、キーパーソンには「絶対に会議を欠席してはならない」と自覚してもらわなければなりません。しかし、「次の会議は絶対に出てくださいね」と念を押す程度で理解してもらえるわけではありません。
そこで、キーパーソンの席まで何度も足を運び、「Aさんがいないところで、こんな要件が出て、決定したと聞きましたが、Aさんの認識と合っていますか」「1つだけでなく、幾つかの重要な要件でこういう状況になっています。今、方向を修正しないと、プロジェクトが危ないです。だから、絶対に会議に出てほしい」などと口説き落としてみてはどうでしょうか。会議の時間になったらAさんの席まで迎えに行き、「会議に行きますよ」と連れていくのもいいでしょう。
会議が“空中戦”になってしまう
口頭で色々な意見が出て、会議が盛り上がったように思ったが、どことなく議論がかみ合わず、何の意思決定もできずに時間切れになってしまった。こんな“空中戦”の経験をした人も多いでしょう。空中戦とは、資料やホワイトボード、プロジェクターなどを使わず、口頭だけで議論することを言います。会議室の空中を言葉が飛び交ってぶつかり合う(戦う)様子の例えです。空中戦は一見活発な議論に見えますが、会議の目的を十分に達成できません。内容の良しあしより、声が大きい人の発言ばかりが印象に残りやすくなります。しかも会議が長時間になりやすく、その結果、「会議に出ても時間の無駄」という思いが参加者に芽生えてきます。これでは参加すべきメンバーの出席率が低下して、プロジェクトの遅延につながります。
原因は単純です。テキストで情報共有をしていないからです。資料やホワイトボード、プロジェクターなどを使って、会議の目的やアジェンダ、検討資料などを参加者に周知しないと、それぞれの認識に食い違いが出て、それが非合理的で非効率な議論と、会議の長時間化を招くのです。
テキストで考えや思いを共有することの大切さ
空中戦を避ける対策は、会議の基本といえることばかりです。まず、会議前に今日伝えなければいけないこと、みんなで検討しないといけないことを整理し、アジェンダを作成する必要があります。次に、会議のアジェンダを作成することで、会議の流れと時間配分を整理しておき、必要に応じて検討資料を作成すべきことは言うに及びません。
問題は、会議の基本といえども、みんな忙しいのでアジェンダや資料を作りたがらないことです。こういう時、会議のファシリテーターであるPMOは、事前にアジェンダや資料の作成を担当者に促したり、会議の冒頭でホワイトボードにアジェンダを書き出したりする方法があります。キーパーソンに代わって、資料作成を手助けするのもいいでしょう。
キーパーソンの考えを話してもらい、PMOがそれを資料に落とす。会議の前にはキーパーソンと打ち合わせをして、「私たち(PMO)がこう話を振るので、(キーパーソンが)ガツンと方針を決定してください」などと議事進行の段取りを決めておくのもいいでしょう。とにかく、みんなが同じ内容をテキストで見る状況を作り出すことが大切です。
「今日の会議はちょっと失敗したな」と思うことは少なくないですが、失敗して経験を積むこともすごく重要です。アジェンダ準備の事前確認やキーパーソンとの事前打ち合わせなど、ほんの少し意識するだけで改善できることなので、ぜひ実践してみてください。日頃から「PMOのお願いなら仕方ないからやるよ(行くよ)」とキーパーソンに言ってもらえるような関係(信頼)を築けていれば、それほど難しい話ではありません。