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プロジェクトを失敗させないヒント71『チーム間の連携不足に気を配る』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
プロジェクト内の各チームはどうしても、自チームの課題対応にばかり目が向いてしまいがち。それ故、プロジェクトへの影響が大きい「チーム横断型課題」への対応が遅れやすくなります。PMOは、こうしたチーム間の連携不足に目を光らせることが必要です。システム開発が山場を迎えようとする頃、プロジェクトルームで次のようなやり取りを見かけませんか。
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プロジェクトマネジャー:課題Xは、AチームとBチームで対応するのだよね。進捗状況を教えてくれるか。
Aチームリーダー:Bチームがユーザーと詳細要件を詰めた後に対応しようと思っています。
Bチームリーダー:まだ詳細要件は詰めていません。どのように進めるかをAチームと一緒に検討しなければと思っていたところです。
プロジェクトマネジャー:課題解決が進んでいない状況は分かったけれど、期限はいつなのか。
Aチームリーダー:申し訳ありません。期限も確認できていません。
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AチームとBチームの両方で解決すべき課題について、両チームリーダーとも把握はしているが、何も対応していないケースです。期限も不明なため、このまま放置すると、大問題に発展する可能性があります。このように「解決のオーナーシップをどちらが取るのか」という点について、プロジェクトマネジャーがうまく指示をしないと、対応が遅れることがよくあります。
このケースでは、お互いに相手チームの対応を期待していることが問題の原因です。相手任せの状態で、オーナーシップがないため、期限の把握もおぼつかないのです。チーム個別の課題に対応するだけでも忙しいなか、わざわざチーム横断型の課題を拾ってオーナーシップを取り、多数のステークホルダーと調整を進めるのは難しいことです。他のチームの対応を受動的に待ってしまう傾向もよく見受けられます。
マネジメントへの進捗報告の際、チーム個別の課題が進まない場合、全ての責任は自チームにありますが、チーム横断型の課題は各チームの責任となるため、優先度を下げてしまう可能性があります。チーム横断型課題は影響範囲が大きく、プロジェクトへのインパクトが大きいですが、チームリーダーの意識は自チームの作業に向いているため、組織横断的な視点で見ることが難しいのです。先の例にある「Bチームがユーザーと詳細要件を詰めた後に対応しようと思っています」という相手任せの発言にもつながります。
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プロジェクトマネジャー:Cチームの課題管理表にある課題Yは、Dチームにも関係するのか。
Cチームリーダー:はい、Dチームにも関係しますよ。
プロジェクトマネジャー:Dチームの対応状況はどうですか。
Dチームリーダー:申し訳ありません。対応するのを忘れていました。いつまでの期限でしたっけ。 これからすぐに対応します。
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これまた、よく見かける光景です。課題YはCチーム側で管理しているのですが、Dチームにも関係しています。Cチームリーダーは、Dチームリーダーに事前に対応を依頼しましたが、Dチームリーダーは対応を忘れている、というケースです。
このケースでは、プロジェクトマネジャーが機転を利かせ、Dチームの状況を確認することで発覚しました。しかし、これがなければ、対応期日にCチームリーダーがDチームリーダーに確認し、大慌てになります。課題YのオーナーシップがCチームにあるため、CチームがDチームに対応を依頼しているのですが、Dチームは多忙ななか、対応を忘れています。Cチームリーダーに余裕があれば、Dチームの対応状況を都度確認していたかもしれませんが、なかなかうまくいくことは少ないと思います。
「チーム横断型課題管理表」でPMOが解決促進
上記2つのケースが示すように、複数のチームが関連しているチーム横断型の課題は、解決がなかなか進みません。このような障害を取り除き、チーム横断型課題の解決を促進していく方法として、「PMOによるチーム横断型課題管理表の作成」が挙げられます。
これは、チーム横断型課題をPMOがリストアップし、重点管理していく方法です。チーム横断型課題管理表には、「主担当チーム」「関係チーム」「期限」欄を設け、必須記入項目とします。また、関係チームごとにアクションプランや進捗状況を記録できるようにすれば、詳細なトレース管理が可能になります。「主担当チーム」「関係チーム」欄により、課題のオーナーシップを明確にし、「期限」欄により解決期限を明確にします。
PMOがチーム横断型課題管理表を最新状態にメンテナンスすることで、チームの負担を最小限にとどめながら、チーム横断型課題のモニタリングと解決を促進していくことができます。多忙を極めるプロジェクトマネジャーは全ての課題を把握できるわけではないため、プロジェクトへの影響範囲が大きい課題の進捗状況を最優先で把握する必要があります。
チーム横断型の課題は、プロジェクトの行方を左右する重要課題です。その管理は、プロジェクトマネジャーの意思決定を促進させるうえで必要なPMOの役割です。