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プロジェクトを失敗させないヒント72『課題管理表からゴミを取る』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
次々に発生する課題を的確に管理して対処していかないと、プロジェクトが頓挫するか、品質の低いシステムを生み出してしまいます。しかし課題管理を安易に始めると、課題の中に「リスク」「To Do」「備忘録」が混在してしまい、見るに値しない課題管理表になってしまいます。このような“ゴミだらけ”の管理表では、とてもマネジメントなどできません。課題管理について、次のようなやり取りに出合ったことはないですか。
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プロジェクトマネジャー:Aチームの課題は総件数が152件。未決件数80件中、期日遅れが40件になっている。プロジェクトが始まって2カ月しかたっていないのに、どうしてこれほど遅れが生じているのか。
Aチームリーダー:重要な課題は3件と認識していますが、それ以外は各チームメンバーが記入しているものなので、重要ではありません。
PMO:重要でなくても、各チームメンバーの進捗を阻害している課題、例えばユーザーが要件を決めてくれない、成果物をレビューしてくれない、といった課題はチームリーダーが対処すべきではないですか。
Aチームリーダー:私たちは直接そのような話は聞いていないですし。
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課題の総件数が152件となっていますが、中身を見たら、各チームメンバーの備忘録であったり、リスクとして感じていることだったり、やるべきTo Doだったりして、とにかくごちゃ混ぜになっていました。その結果、チームリーダーはほとんど課題管理表を見なくなってしまいました。Aチームリーダーが歯切れの悪い話をするのは、そのせいです。
現場ではPMOが指示した課題管理のテンプレートを使っているものの、中身の記述レベルが不徹底だったため、課題管理が形骸化していることがあります。せっかく使っている課題管理表も、うまく生かされていません。また、課題解決を期待して起票しているチームメンバーも、このような扱いが続けば、次第に課題を挙げなくなってしまうでしょう。
本来管理すべき「課題」は、進捗と品質を阻害する原因
このような問題を避けるため、PMOは何をすべきでしょうか。課題管理を徹底するうえで基本的なことではありますが、課題、リスク、To Doの違いを、メンバー全員に理解してもらうことから始めていく必要があります。PMOはプロジェクト全体にわたる管理プロセスの定着に責任を持ちます。テンプレートを提供するだけではなく、運用上の手ほどきを担うべきです。
「課題」の定義は幾つかの観点により異なりますが、プロジェクトマネジメント上、最も分かりやすい定義は「進捗および品質を阻害している原因」と理解するのがよいでしょう。単純な例で言うと、タスクAの進捗が遅れているという問題があった場合、原因が要員不足にあったとするなら、「要員不足のため進捗が遅れている」ことが課題となります。
進捗が遅れているとか、品質に問題があるという表現で課題管理表に記述してしまうと、原因がつかめず、対応策が出てこないという事態に陥ってしまいます。これでは、いつまで経っても課題を完了できない可能性があります。必ず、「問題事象→原因究明→課題化→対応策」といったステップごとに考えていく必要があります。
整理した結果、対応策まで見いだせたら、それがTo Doとなるものがあります。しかし、課題管理はTo Doをメインに管理していくのではなく、あくまでも課題を管理していくものです。
一口で言うと、課題は「過去に起こった問題の原因」、To Doは「現時点でやるべき仕事」、リスクは「将来起こる可能性のある問題」です。性格が違うものをごった煮にして管理しないように気を付けましょう。