プロジェクトを失敗させないヒント78『ドキュメント管理の要はPMOが握る』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


    プロジェクトで作成するドキュメントは、メンバーが増え、時間が経つと急激に増えていきます。ドキュメント管理規定があっても、周知徹底は意外に難しいもの。シンプルなルールを定めたうえでチームの裁量を認め、ドキュメント管理の要所をPMOが握るようにします。

    魔窟のドキュメントフォルダに手を付けたくない


    本来、プロジェクトで作成する膨大なドキュメントは、ドキュメント管理規定に基づいて分類・管理されていなければなりません。しかし、ドキュメント管理規定に書いてあるフォルダ構成やファイル名は守られず、ずるずると無統制な状態を続けていることが実情でしょう。

    私もプロジェクトの中盤でPMOとして参画した場合、この問題によく出くわします。正直、腫れものに触れるがごとく、あまり手を付けたくないと思ってしまいます。

    ドキュメント管理規定を作成したとしても、運用するにつれて、実態に合わなくなってしまうことがよくあります。原因は色々です。想定していたフォルダ構成では足りなくなることもあれば、中間的な成果物を管理するフォルダが増えることもあります。体制が変更されたため、そもそもチーム名が変わってしまうなど、プロジェクトの多様な変化のなかで、規定そのものの順守が難しくなったりしてしまいます。

    自分で作業をしているファイルにもかかわらず、それがどこにいったのか分からなくなることも意外にあるものです。それほどドキュメント管理は難しいと言えるでしょう。ドキュメントを整理するためにグルーピングするフォルダを作っていくのですが、フォルダの階層が深くなりすぎて、まさに“魔窟”の状態になります。最近は様々なファイル検索ツールがあるので、自分のパソコンであれば探せないことはありませんが、プロジェクトで共有しているファイルだと無駄な検索時間を使ってしまいます。

    ファイル管理用のツールを導入することも対策の1つだとは思いますが、そもそも膨大に増える電子ファイルを運用するのは、プロジェクト管理上の問題です。ツールだけで解決できる話ではありません。


    ドキュメント管理の5つのポイント

    私は様々なドキュメント管理を見てきた経験上、5つのポイントを踏まえた運用が重要だと考えます。

    (1)プロジェクト共有フォルダと各チームのワーキングフォルダを分ける
    (2)プロジェクト共有フォルダへの格納ルールをドキュメント管理規定に盛り込む(何をどのタイミングで格納するのか)
    (3)各チームのワーキングフォルダは各チームの運用に任せる
    (4)プロジェクト共有フォルダのフォルダ構成および作成はPMOが行う
    (5)フェーズごとに新しいフォルダを切り、必要なファイルだけ移行する

    プロジェクト管理全般に言えることですが、規定は細かすぎたり、複雑であったりすればするほど運用に耐えられず、結局手戻りが発生し、全てを見直す羽目になります。

    最近は情報セキュリティーも厳しくなっていますので、セキュリティー上の細かな規定を順守することは義務であり、徹底しやすいかもしれません。しかし、守っても守らなくてもよいルールは運用がうまくいかないものです。そのためにもルールをシンプルにし、ある程度の裁量をチームに持たせ、プロジェクト管理上しっかりと握るべきところはPMOが握っておく、という点が非常に重要だと思います。