プロジェクトを失敗させないヒント79『もう納品でドタバタしない』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    プロジェクトの節目で、メンバーは課題対応やドキュメント作成にばかり気を取られ、納品作業(契約)を忘れがちになります。納品作業は、ユーザー・営業・現場を巻き込んだ一大イベントであり、契約に関わる重大なタスクですが、いつもドタバタしがちです。そんな時、全体調整に長けたPMOが力を発揮しましょう。

    小規模プロジェクトであれば、ユーザーと現場の関係が密になっており、日頃から作業状況も共有されているでしょう。そういうプロジェクトでは、納品作業が問題になることは少ないと思います。

    逆に大規模プロジェクトでは、納品作業に苦労することが多いものです。「納品はしたが、認識の食い違いが発生し、検収が遅れた」という苦い経験をした人は少なくないと思います。

    監査・内部統制が重視され、検収は厳密に

    納品作業が滞らないように、大規模プロジェクトではフェーズ開始前に成果物を定義し、契約書にも記載します。ですが、プロジェクトはまず予定通りに進まないので、「当初予定していた成果物が作成できない」という事態も起こります。現場では、特定の成果物を作成できない理由が共有されているので、当然、その成果物は作成しないものと思っていますが、契約という次元では通用しません。そのため、ユーザー側の契約担当者(納品担当者)に、事情を論理的に説明できなければなりません。

    近年は、監査・内部統制が重視されており、契約担当者は論理的な説明がない限り、契約書と少しでも異なる納品物を検収することはできません。また、大規模プロジェクトでは、契約・納品作業を現場のメンバーではなく、営業担当者が行うことがあります。この場合、営業担当者との認識の食い違いにも注意すべきです。例えば、月末検収を行うため、「納品は月末から3営業日前にする」ということを当該フェーズの開始前に現場に連絡していたとしましょう。しかし、フェーズの終了時にはすっかり忘れられていて、現場はその月の最終営業日に納品する予定で作業を進めていたりします。納品物をPDFにするルールになっている場合などで、現場と営業担当者のどちらがPDFにするのか決まっていないことも多々あります。互いに相手がすると思っていて、納品当日にドタバタしてしまうのです。

    このような事態を回避するには、どうすればよいでしょう。ポイントは、フェーズ終了前にユーザー、現場リーダー、営業担当者を集め、納品作業に関する認識を合わせておくことです。意外に知られていませんが、納品作業で最も大切なことは関係者の「認識合わせ」なのです。小さなことでも、情報を共有する手間を惜しむべきではありません。

    仕切るのはもちろん、PMOです。PMOはプロジェクト全体を見渡す視野を持ち、全体調整に長けています。契約担当者、営業担当者、現場の橋渡しをして、納品作業の要所要所を押さえるのに適任です。

    関係者の認識を合わせる打ち合わせは、フェーズ終了間際ではタイミングが遅く、かといって1カ月以上前だと早すぎて打ち合わせの内容を忘れてしまいます。ですから、2~3週間前から打ち合わせを始め、納品までのタスク、スケジュール、担当者を明確にし、進捗管理をしていくことが必要です。

    ユーザー側の契約・納品担当者と、プロジェクト状況や最終納品の形を共有する場も事前にセッティングしておきます。チームが多い場合は、PMOがプロジェクトの状況や成果物の作成状況などを整理して取りまとめ、契約担当者に一括して説明すると効率的です。詳細な説明は現場担当でないとできませんので、チームリーダーに同席してもらいます。契約書上の成果物との差異、その理由、リカバリー案をマネジメントの視点で論理的に説明すれば、スムーズに納品、検収が進むでしょう。