プロジェクトを失敗させないヒント82『ルールはかみ砕いて浸透させる』

目次

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
    お問合せはこちらからどうぞ。

    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


    計画書が充実したプロジェクトは、管理が行き届いている印象を受けます。しかし、計画書をプロジェクトメンバーがどこまで読み込み、理解しているでしょうか。PMOは計画書に記載されたルールをかみ砕いてメンバーに浸透させ、計画書に命を吹き込むことで円滑に推進していく必要があります。

    プロジェクト管理の標準化は進んでいても、定着しない会社があります。この問題は『[ヒント81]標準化が定着しない理由』で、PMOがテーラーメードを行うべきと述べました。『[ヒント44]小規模プロジェクトに本当に必要な管理』でも、しっかりとテスト計画書が作成されていたにもかかわらず、現場のメンバーに定着しなかった事例を紹介しました。この事例もテーラーメードの失敗が原因でした。ただし、私は失敗の原因がもう1つあると考えています。そもそも標準化された計画をメンバーが理解できていなかったのです。

    計画書を見慣れたPMOからすると、いつも通りの資料かもしれませんが、新しく参画したメンバーからすると、複雑な資料に見えるかもしれません。PMOはこれらの資料をかみ砕いて、メンバーに伝えていく必要があるのです。

    ルールは詳細なだけでは伝わらない


    イメージしやすいように例を挙げます。あなたは仕事中に、自分の会社の社内規定や就業規則、業務規定をいちいち参照するでしょうか。実際には、自分の業務に関わる部分だけを分かりやすくフロー化したものが作成されていて、それだけを見ていることが多いと思います。厳密なルールはもちろん必要ですが、もし閲覧できる資料が分厚い社内規定集しかなかったら、現場のあなたは「もっと分かりやすく説明して」と叫んでしまうでしょう。

    プロジェクトも同じです。統制を取るために詳細なルールは必要ですが、伝え方には相手に対する工夫と配慮が必要です。ここに、PMOが価値を発揮できるポイントがあります。ルールではなく、手続きとして伝えるのです。

    課題管理プロセスを変更する場合、各チームリーダーには「課題管理プロセスのエスカレーション先が、チームリーダーから統括リーダーに変わります」と説明すればいいでしょう。一方で、現場のメンバーに説明する際には、「課題を見つけたら○○さんではなく、××さんに知らせてください」と伝えた方が間違いも少ないですし、理解しやすいはずです。

    このように、現場のメンバーにはルールではなく、「手続き」として伝えていく必要があります。プロジェクトが猛スピードで進んでいるなかで、計画書などが網羅的かつ詳細に記載されているほど、メンバーがそれらを全て読み込んで理解するのは難しいはずです。プロジェクトマネジメントの成熟度が高い企業ほど計画書をしっかりと作成していますが、半面、新しく参画したメンバーからすると計画書は取っ付きにくく、縁遠い存在になってしまう、という矛盾が生じます。

    PMOがルールの伝道師となり、メンバーを育てる


    PMOは「ルール」と「メンバー」の間に入り、ルールをかみ砕いて伝える役割を果たします。例えば、計画書の一部を簡素化したプロセスフロー図を作成したり、具体的な人の名前を入れた説明資料を作成したり、時には個別に説明したりすることで、メンバーへのルールの浸透を図ります。

    「PMOがそこまでやるのか」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、必ずやるべきです。メンバーにしっかりとルールが浸透すれば、プロジェクト運営は円滑になります。

    それだけでなく、ルールの目的や内容をしっかりと伝えることで、マネジメントの視点を持ったメンバーの育成にもつながっていきます。PMOがメンバーに徹底的にルールを浸透させる役割を果たせば、プロジェクトの成功とメンバーの育成という2つの成果に貢献できるはずです。