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プロジェクトを失敗させないヒント83『数字の持つ説得力に惑わされるな』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
プロジェクトの見える化は、本書のメインテーマの1つです。見える化で、進捗や課題の状況、リスクの影響度など、プロジェクトの様々な側面を客観的に把握することが可能になります。しかし、これらの数字を鵜呑みにしていないでしょうか。
人は数字を見せられると、思わず納得してしまうことがあります。適切な判断を下していくには、数字をそのまま受け止めるのではなく、一歩立ち止まって、数字の本質を見極める必要があります。
プロジェクトの見える化の取り組みでは、ややもすると定性的になりがちな情報を一定のルールで数値化し、プロジェクト関係者が客観的な数字を基に共通認識を持てるようにしていきます。
しかし、注意しておくべき点もあります。数字には状況を明確に知ることができるという利点がある半面、「いかにも正しそうに見えてしまう」という罠があるのです。
具体的な数字を示されると、人は弱い
どういうことか、例を挙げてみます。定性的に「スマートフォンユーザーは女性よりも男性の方が多い」と言われるよりも、数字を入れて「スマートフォンユーザーは男性が約6割を占め、女性よりも約335万人多い」と言われた方が、説得力があるように感じます。この情報源や調査方法、発信者すら全く知らなくても、具体的な数字を示されると、思わず「正しいのだろう」と思い込んでしまうことがあるのです。こうした「いかにも正しそうに見える」という事態は、プロジェクトの現場でもたびたび発生します。
例えば、進捗会議で「10日間かかる作業を、6日経過していて60%の進捗です」と報告がありました。これはスケジュール通りと考えていいでしょうか。まずは60%という数字が、何を基に判断された値なのか、確認する必要があります。「100のタスクを終わらせるうち、6日経過していて60タスクが終わっています」という報告が加わると、さらに「正しそうに見える」度合いが増します。
しかし、残りの40タスクは今までと同じ速度で対応できるものなのでしょうか。もしかしたら、難易度の高い作業ばかりが残っているのかもしれません。あるいは、残りの期間は別の作業を並行して進める必要があり、これまでのように時間を割くことができないかもしれません。こういった点を含めて、「進捗60%」という数字の実態を確認する必要があります。数値化されていることに安心し、その数字を「正しそうだ」と思い込んでしまうことがないように、一つひとつの数字の裏付けを取ることはとても大切です。
「数字」の本質を見抜け
数字には正しそうに見えて、人を納得させてしまう不思議な力があります。ですので、自分が何かを伝えたい時には有効に利用すべきでしょう。一方で、数字の力が強いからこそ、使う側も慎重になる必要があります。数字を見る側も内容をしっかりと見極めていく必要があるのです。
プロジェクトで重要な意思決定を求められるプロジェクトマネジャーと彼らを支援するPMOとして、目の前に出てきた数字の本質を見抜き、適切な判断を下していくことが求められます。