- ホーム
- プロジェクトマネジメントのヒント
- プロジェクトを失敗させないヒント88『危機意識がユーザーを突き動かす』
プロジェクトを失敗させないヒント88『危機意識がユーザーを突き動かす』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
お問合せはこちらからどうぞ。
※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
ステークホルダーをプロジェクトに巻き込むことは、今も昔も容易ではありません。うまく巻き込めないと、プロジェクトを崩壊に導く“爆弾”にもなり得ます。特効薬はないですが、ステークホルダーを突き動かせるものがあるとすれば、それは危機意識です。PMOらしいやり方で、ステークホルダーに訴えかけましょう。
「システム開発が期限通りに終わり、不具合の修正も終わっていること」—。あなたが関与するプロジェクトでも、システム開発の計画書には「ユーザーテスト・フェーズ終了時の前提条件」として上記のような文言が記載されているでしょう。前提条件は多くの計画書で明示されていると思います。しかし、分かっているけれど言えない前提条件、さらには意識されていない前提条件も存在します。次のようなものです。
● ユーザーテストでは、ユーザーがテストに十分な時間を割り当て、積極的にテストを行う。また、ユーザーが新業務を理解している
● プロジェクトオーナーはプロジェクトの課題に、タイムリーに判断・助言を与える
● ライン部門のマネジャーは、プロジェクトに積極的に協力する
いずれも、ユーザーがプロジェクトに積極参加することを前提条件としたものです。いわゆるユーザー(ステークホルダー)の巻き込みに関することで、現実にはやっかいな問題です。場合によっては、これがプロジェクトを崩壊させかねません。
本来、前記のような前提条件に責任を負うのがプロジェクトオーナーやプロジェクトスポンサーなどの上位管理者ですが、なかなかうまく動いてもらえません。前提条件が崩壊し、プロジェクトが立ち行かなくなると、プロジェクトマネジャーに責任を転嫁しがちです。「あのプロジェクトマネジャーは関係者をしっかりと巻き込めていない。リーダーシップやコミュニケーション能力がない」と。
ステークホルダーに危機意識を植え付ける
こういった事態に陥らないためにも、ステークホルダーとコミュニケーションを取り、当たり前すぎて言えない前提事項についても、きちんと合意しておきます。プロジェクトのリスクを減らすには、基本的なステップを一歩ずつ踏んでいくしかありません。ステークホルダーが一堂に会するステアリングコミッティーを通して、定期的な報告と協力要請をしましょう。プロジェクト説明会では、目標の浸透や個別の打ち合わせ、交渉などを積み重ねていく必要があります。
ユーザーを巻き込むため、伝え続けるべきメッセージはたった1つ。ステークホルダーに当事者意識を持ってもらうことです。言い換えれば、危機意識を持ってもらうこと。「このプロジェクトがうまくいくと自分にこんなメリットがあり、失敗するとこんなデメリットがある」ということを強く意識してもらいます。組織として個人として、危機意識を持ってもらうことで、協力関係はより強固なものになります。
とはいっても、「このプロジェクトが失敗すると、オーナーである事業部長は私たちと一緒に責任を取ることになりますよ」などと言うのは得策ではありません。あくまでも上位管理者との関係は良好に保ちつつ、「現場はもう崩壊寸前です」といったアラートを的確に出し、危機意識を持ってもらうのです。
こうした声がけは当然、プロジェクトマネジャーもしますが、PMOもプロジェクトマネジャーを支援しなければなりません。プロジェクト状況を客観的に把握し、論理的に説明できるという立場から、ステークホルダーたちに訴求します。
気を付けてほしいこともあります。多くのプロジェクトでは、進捗や課題対応状況のレポートを「客観的・論理的」に作成していると思います。定期報告ではその客観的・論理的な形式が必要とされますが、ユーザーを巻き込みたいと思う場面では訴求力が足りません。客観的で論理的なレポートにはプロジェクトの“臨場感”がなく、ステアリングコミッティーの場で報告しても、切迫した現場の雰囲気がほとんど伝わらないからです。
客観的・論理的な情報に“生っぽさ”を合わせる
そこで、客観的・論理的な情報に“生っぽさ”を合わせるのです。相乗効果により、非常に強い訴求力を生み出します。普段から現場の声を聞き回っているPMOが「現場が崩壊しそう」といったシグナルを察知したら、客観的・論理的な情報と合わせてステークホルダーに強く訴えかけます。
ステークホルダーは、いつもと同じ体裁の報告書を見ながらも、頭の中には現場の窮状が浮かんでくるはずです。これで初めて現場とプロジェクトマネジメント・チームとステークホルダーの橋渡しができ、ステークホルダーに当事者意識や危機意識を持ってもらえます。
PMOに協力会社のメンバーが参画しているなら、そのメンバーにプロジェクトの状況を解説してもらう場を設けるのも手です。組織内のしがらみのため、思い切ったことを言えないプロジェクトマネジャーの良き代弁者となってくれるでしょう。プロジェクトマネジャーとPMOが一体になることで、ステークホルダーを巻き込んだプロジェクト運営が可能になります。