プロジェクトを失敗させないヒント90『オフショア開発では双方にPMOを置く』

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    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


    海外に依頼するオフショア開発では、「ブリッジSE」がオフショア先の進捗管理や課題管理を受け持つことも多いでしょう。しかし、そこに落とし穴があります。ブリッジSEはあくまでもSEであり、マネジメント上の問題点を見過ごすかもしれません。

    海外への事業展開を目的としたプロジェクトや日本への進出を目的としたプロジェクトなど、様々なグローバルプロジェクトが展開されています。急速に増えているのは、オフショアによるシステム開発プロジェクトです。

    オフショア開発では、ブリッジSEが日本側の要件を把握し、オフショア先のSEやプログラマーに伝えるのが一般的です。オフショア先のエンジニアが、ドキュメントだけを見て要件を把握できることはまれです。大規模システムの保守案件などは、その部類に入るかもしれません。

    ブリッジSEがオフショア先の進捗や課題の状況を把握し、日本側に伝えるプロジェクト管理者としての役割を担うことも多いですが、ここに問題があります。ブリッジSEの役割は、オフショア先に要件を正しく伝え、理解させることです。ただ、プロジェクト全体を見る視点に欠けている場合が多く、プロジェクト管理も適切に行えない場合がほとんどです。

    私が中国に出張した際、オフショア開発会社を5社訪問しました。日本向け事業の責任者とのミーティングでは、みんなが口々に「日本側の要件が決まらないので、しわ寄せが多い」「日本側の頻繁な要件変更に耐えられない」「変更するかどうか分からない要件を、中国側で先走って開発してしまった」という問題を話していました。ブリッジSEでは、このような課題をうまくマネジメントできないのでしょう。

    PMOは、プロジェクト全体を「鳥の目」で俯瞰し、マネジメント上の問題を解決していくことが不可欠です。日本側とオフショア先の間で案件管理プロセスや変更管理プロセスが不十分であり、案件や変更要件の承認がうまく行われていないなら、まずはその原因を把握すべきです。

    おそらく、ブリッジSEは問題があることを知っていたはず。ただ、プロジェクト全体のマネジメントを向上させるための鳥の目を持っていないため、原因を把握し、改善するためのアクションにつなげられなかったのだと思います。欧米のプロジェクトでは、発注側とオフショア先の双方にPMOを設置しており、この点は見習うべきです。

    日本人同士とは違うコミュニケーションが必要

    グローバルプロジェクトで、いくら管理プロセスを徹底し、頻繁な電話会議やメールのやり取りをしたとしても、対面での打ち合わせは必要です。特にプロジェクトリスクに対する温度差は、十分に埋めておかなければなりません。危機意識の違いから、プロジェクトが予想以上に遅れることもしばしばです。日本では同じ部屋、同じ会議室で非言語でのコミュニケーションを頻繁に行っているため、危機意識の醸成はしやすいですが、海外とのやり取りでは「論理的なコミュニケーション」が必要です。

    私の経験上、プロジェクトのスケジュールや課題、リスクについては、嫌と言うほどの説明資料を持って、うんざりするくらい会議を重ねる必要があると考えます。「一を聞いて十を知る」などという甘い期待は捨てましょう。そのギャップを埋めるために、PMOが活躍します。

    オフショア開発に限らず、日本で外国人と共同プロジェクトを行う場合も、宗教や生活習慣の違いを十分に考慮すべきです。特にインド人はベジタリアンが多く、食の好みも随分異なります。PMOはプロジェクトの生産性を高めることに貢献すべきですが、外国人に対する気遣いもモチベーションを上げる重要なポイントです。PMOに限らず、プロジェクト全体でカルチャーギャップを埋める気遣いが必要でしょう。