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プロジェクトを失敗させないヒント91『グローバルPMOは官房長官になる』
『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。
当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
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※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます
多拠点、多言語、多国籍のグローバルプロジェクトでは、国内プロジェクト以上にコミュニケーションに時間がかかり、早め早めの意思決定が求められます。日本人には聞き慣れない横文字も、頻繁に登場します。あうんの呼吸に慣れたプロジェクトマネジャーが指示を出すと、情報の少ない海外拠点にいるステークホルダーは“迷子”になり、後工程で火が噴くことも少なくありません。そのようなグローバル環境下でのPMO(グローバルPMO)が持つべきマインドセットを考えます。
グローバルプロジェクトとは、ワールドワイドの営業拠点への新事業展開や海外サプライヤーとのシステム連携、オフショア開発、海外企業の買収に伴う業務統合などが挙げられます。グローバルプロジェクトに携わった経験から、PMOが最初に気にすべき視点は2つあります。1つは複雑性、もう1つは変動性です。グローバルプロジェクトの複雑性は、拠点や言語、時差、文化、組織と、多くの要素が関連します。日本だけではなく、海外拠点のビジネス環境の変化により、プロジェクトのスコープやステークホルダーの期待が頻繁に変化する場合(変動性)もあります。
複雑性と変動性の双方が高い場合、プロジェクトのリスクレベルはかなり高まり、PMOの活動は多岐にわたります。英語を標準言語としたコミュニケーション品質も、より高いレベルが求められます。
以下では、ワールドワイドの営業拠点で、日本をベースとするグローバルPMOが新業務のカットオーバー時期を欧州や米国、アジア、中東など複数地域のプロジェクトリーダーに伝え、課題とTo Doを推進する場面を想定しながら、注意点を考えます。
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海外にいる現地のリーダー:You are talking about a final decision as a project management?(あなたの言っていることは、プロジェクトとしての最終見解ですか)
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海外拠点展開プロジェクトのテレビ会議で、ビジネス側のリーダーからこう尋ねられたことがあります。国内のプロジェクトでは、「いったん持ち帰ります」とか、「私たちの権限では」と結論を先延ばしすることがあるかもしれません。しかし、グローバルプロジェクトでは、Project Managementと名の付くPMOがそんなセリフを連発すると、信頼を失います。PMOからの情報や伝達事項が本物か、相手は信頼性を確かめているのです。
その場合、2つの対処法があります。1つはアジェンダや想定問答をしっかり準備しておき、プロジェクトマネジャーや関係者と話す内容を綿密に確認し、正式にはっきり伝えることです。国境を越えた相手の立場で、論理的に矛盾のない伝達をする必要があります。もう1つは「Xではそうですが、Yについては至急確認します」などと議事録に残し、さらにTo Doとして追跡して、早めに正式な回答をすることです。グローバルプロジェクトでは1つのミスが各国に伝播し、修正するのに時間とコストがかかります。責任の持てない回答をPMOはすべきではありません。
グローバルプロジェクトは自己主張と丁重が肝
どちらの場合も、2つのことに気を付けます。1つは自己主張をしっかりとすること。主張すべきことは具体的な理由とともに伝え、意見が対立した場合はきちんと議論する。もう1つは逆説的ですが、丁重であること。一緒にプロジェクトを成功させるステークホルダーやメンバーを尊重し、間違った情報で時間を無駄にしないよう、「分からないことは分からない」と丁寧な英語で正直に伝えます。万が一間違った情報が各国に伝わった場合も、修正は謝罪とともに迅速に行い、時にはメッセージングツールや時差に注意しながら、電話やショートメッセージでもフォローする必要があります。
重要な局面では「Polite Assertive(丁重な自己主張)」を活用したリアルタイムかつ高品質なマネジメントを通じ、複雑性と変動性があるプロジェクトやプログラムをコミュニケーションの面で「締める」必要があります。その場合、PMOはプロジェクトマネジャーの参謀とスポークスマンの両方の役割を持つ、いわゆる「官房長官」の役割を担っているのです。
丁重な自己主張はメッセージを発信する側のマインドセットとして重要ですが、受信側が理解し、プロジェクトに必要なタスクを想定通りに実施できるかは別問題です。いつの間にか、誤解されて伝わっている場合もあります。特に変動性の高いプロジェクトは、早めに誤解を修正します。
「as I said many times(何回も言いましたが)」という表現は、グローバルPMOはあまり使わない方がいいでしょう。1回では伝わらない、理解してくれない、忘れることが前提で、決定事項やお願い事を何回も伝えることを心がけます。それは、メンバーが海を越え、各国に散らばっている場合は特に重要です。
「一度伝えて、議事録にも書いてあるし、何回も言わなくてもいいだろう」とか、「会議でYesと言っているし、少しそっとしておこう」といった考え方は、グローバルプロジェクトでは禁物です。迷ったら、もう一度言うに限ります。
最近のグローバルプロジェクトで、欧米のシステム設計リーダーと協業する機会がありました。彼らは重要なことは何度もメンバー(インド、シンガポール、南米、日本)に伝えていました。メッセージの受信者である各国のリーダーに中立的かつ客観的でありつつ、コミュニケーション品質を上げていくことは、多様な人種との協業が一般的な国では当たり前なのでしょう。