プロジェクトを失敗させないヒント96『新任PMOが悩む立ち位置 3』

目次

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
    お問合せはこちらからどうぞ。

    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


    新任PMOが陥りやすい失敗パターンを考えていきましょう。PMOの実行サービスを提供してきた様々な経験から、新任PMOが着任した際にうまく立ち回れず、失敗してしまう例をしばしば見てきました。多くの失敗例を分析していくと、新任PMOが陥りやすい失敗パターンとしては4つに分類できます(図19)。

    新任PMOが最初にぶち当たる壁は多くの場合、このいずれかに当てはまります。複数の失敗パターンに同時に陥る人もいます。パターンを前もって知ることで、罠に入り込まないように手を打ちましょう。図19

    パターン(1)食べ過ぎ消化不良型

    最初は、食べ過ぎ消化不良型です。このパターンにはまってしまう人が圧倒的に多いことが分かっています。簡単に言ってしまえば、PMO自体が何をすべきか十分に理解できていないため、手当たり次第に何でも手を出してしまい、負荷に耐え切れず自滅してしまうパターンです。

    特にPMOという機能が定着していない現場では、現場もPMOが何をやるのか分かっていません。そのため、「とりあえず困ったら何でもPMOに振ってしまえ」という風潮になっている現場をよく見てきました。

    アドバイスとしては、PMOとしてタスクに優先順位を付け、かつ、本当に自分がやるべきことなのかを自問自答してみることです。もしくは、PMOとして交通整理をしてあげることが大切です。プロジェクト成功のために、“今”何が一番重要なのかを考え、タスクを取捨選択できるようになると、食べ過ぎ消化不良型に陥ることを防げます。

    そのためにもマネジメント層は、最初にプロジェクトメンバーに対して「PMOは何でもやってくれる」というような過度な期待を抱かせないように配慮しなければなりません。PMOの負荷(PMOへの期待値)を適切にコントロールすることは、新任PMOを支援する重要なポイントです。

    パターン(2)灯台下暗し型

    灯台下暗し型は、PMO自らが計画を立てる役割を担っているにもかかわらず、計画がないから自分の作業が分からないと言って思考停止になってしまうパターンです。PMOとして「計画がないと何をやっていいか分からない」と困っている人が結構いることを示しています。別の言い方をすると、「計画の計画を立てるのがPMOだ」ということに気づいていないのです。

    PMOは、曖昧な状態から計画を作っていく(だんだん輪郭をはっきりさせていく)ことが大きな役割だと理解しなければなりません。ここを理解しているかどうかで、動きに大きな差が出ます。プロジェクトの特性にもよりますが、課題管理や進捗管理といったルーチン的な仕事はPMOの仕事の40%程度しかなく、残りの60%は調整や次フェーズの検討作業など、WBSに落とすのが難しい非定型的な仕事です。

    WBSに落とせないタスクがたくさんあることが、そもそもPMOが何をやっているのか分からない理由でもあります。それでもPMOは、60%の時間で非定型的な作業(つまり、WBSのインプットとなるような道しるべ)を行っていくものだと理解すると、新任PMOの動きが変わってきます。

    パターン(3)タコつぼ型

    タコつぼ型は役割分担にこだわるあまり、仕事に壁を作ってしまい、タコつぼに引きこもるような人を指します。特にプロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーを経験した人は、役割分担やスコープという言葉に敏感に反応します。やや極端な例ですが、自分の責任範囲をきっちり決めてしまい、それ以外の問題には全く興味を示さないPMOもいます。

    PMOになった際にこのような感覚が残っていると、すき間を埋めるはずのPMOが、逆にすき間を作ってしまいます。PMOの仕事は、WBSのように個人個人にタスクが割り振られるようなものではありません。すき間に落ちている何かを埋める、潤滑油のような機能になるべきです。PMOの各個人でなく、PMOという組織でどのように対応していくかという視点も必要になります。

    パターン(4)自己未完結型

    最後は、自己未完結型です。PMOの失敗例では2番目に多いパターンであり、今まで個人技に頼って仕事をしてきた人が陥りやすい罠ともいえます。何でも自分中心で判断し、自己完結型で課題を解決しようと突き進むのですが、周囲の協力なくして完遂できるはずもなく、結局は「未完結」のまま失敗してしまうパターンです。

    自己未完結型のPMOを一言で説明すると、「チーム作業ができない」ということです。先程のタコつぼ型でも説明しましたが、PMOは組織としての機能です。決められた成果物を1人で黙々と出していくのではなく、プロジェクトを成功させるために、成果物という形にならない作業も多く手掛けなければなりません。そのためには、チームで協力し、プロジェクトのすき間を埋めていく作業は欠かせません。

    個人がいかに優秀でも、プロジェクトとしてメンバーをマネジメントし、同じ目的に向けて音頭を取ることができなければ、PMOメンバーとしては失格です。あまりにもプライドが高すぎて「人に聞けない」「頼れない」というのも、自己未完結型にある特徴です。特に個人技に優れ、多少の問題は手先の器用さで解決してきたような、コンサルタント経験者に比較的多いパターンです。