プロジェクトを失敗させないヒント47『管理ツールでルールを作り込む』

目次

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』とは

    本記事は、プロジェクトを成功させるために必要なノウハウを、数百の支援実績経験をもとに記述した『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』より、 1つずつヒントをご紹介していく企画です。プロジェクトマネジメントについて、何らかの気づきを得るきっかけになれば幸いです。

    当社はプロジェクトマネジメントの知識と経験を有し、皆様のプロジェクトが成功するお手伝いをさせていただいております。 プロジェクトマネジメントに関する疑問や課題がある方、成功への道筋をお探しの方、どうぞお気軽にご連絡ください。
    お問合せはこちらからどうぞ。

    ※『プロジェクトを絶対に失敗させない!やり切るための100のヒント』をPDFまたは電子書籍でダウンロードできます

     


    『[ヒント46]プロジェクト管理ツールを使い倒す』で5つのポイントのうち2つを見てきました。ここからは残り3つを見ていきます。

    (3)プロジェクトの課題処理速度を高める

    みなさんの心の中には「意思決定はトップが行うもの」という感覚があるかもしれません。しかし、プロジェクトにおける意思決定についていえば、何もプロジェクトマネジャーだけが行うものではありません。各チームのリーダーや担当者も、日々業務のなかで意思決定しています。これを「現場レベルの意思決定」とします。

    また、プロジェクトマネジャーやPMOは1歩先、2歩先を見据えて、プロジェクト全体の方向性を決めるための意思決定をしています。これを「戦略レベルの意思決定」とします。

    プロジェクトをうまく回すためには、必要な課題が、必要なレベルで、速やかに意思決定されていく必要があります。プロジェクトマネジャーやPMOが本来の役割ではない現場レベルの意思決定に忙殺されていたり、現場では何ともしがたい戦略レベルの意思決定をチームリーダーが抱えていたりすると、プロジェクトはいとも簡単に止まってしまいます。それは何としても避けなければなりません。

    こうした事態を避けるには、ある課題が、しかるべきレイヤーで適切に処理されていることが重要になります。そこでは、プロジェクト管理ツールを利用して、「エスカレーション(またはその逆)の仕組み」と「円滑な意思決定の仕組み」を作り込むことが重要になるのです。

    (4)運用ルールを定着させる

    プロジェクト管理ツールの利点の1つとして、プロジェクトの運用ルールを仕組みとして管理ツールに組み込める点があります。いわゆるワークフローのような運用もあれば、重要項目については必ず入力しないと先に進めない、といった入力規則のようなものもあります。

    プロジェクトマネジメントにおいては、運用ルールを人の善意に頼ると必ず失敗します。運用ルールは、性悪説で考えるのが基本です。「これをやらないと先に進めない」といった制約や仕組みは、プロジェクトにとって好ましくない振る舞いをするメンバーに、ルールを守らせる力を持ちます。

    (5)プロジェクトマネジメントの教育を肩代わりする

    プロジェクト管理ツールの最後の利点として、プロジェクト管理に必要な項目や運用プロセスを、管理ツールを使うことで学習できる点が挙げられます。システム開発においては、プロジェクトマネジメントを今まで経験したことがないユーザー側の担当者や、新卒で初めてプロジェクトにアサインされた人など、様々な人が集まってきます。そうした人たちに管理ツールという「標準」を利用してもらうことで、日々の作業のなかで自然にプロジェクトマネジメントを学んでもらうことができます。

    課題管理において、「期限の項目を入力必須にする」「エスカレーションレベルを項目として設ける」といった仕組みが当たり前のようにプロジェクト管理ツールに組み込まれていると思います。こうした管理ツールを使っていれば、課題管理が初めての人にも「必要項目、重要な項目は何か」「項目の意味は何か」を知ってもらうことができます。

    また、管理ツールを使い続けることで、課題管理のプロセスも身をもって経験できます。このような意味から、優れた管理ツールは「優れたプロジェクトマネジメントの学習ツール」であるとも言えるのです。